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儚き運命の罪と罰
第二章「クルセイド編」
第二十六話「百万年に一人の可能性」
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いね。つってもこりゃ参った。
 ターゲットの強さを見誤るなんて俺もヤキが回っちまった、ヤレヤレ」

「じゃあおうちに帰ってゆっくりおネンネしてろよ。
 ブチ殺してやりたいのも山々だが俺もテメエみたいな(ファッキン)野郎と長々と遊ぶ暇はねえんだ。
 今退くなら見逃してやる」

「ヤダ。そうすると金が貰えない。今日はメルトキオで女でも買って遊ぼうってスケジュール立ててるのに。
 俺スケジュール通りにいけないのは嫌なんだよ」

「下品な奴だ。悪党はまだしも下品な奴に生きてる価値はねえ。下品な奴の価値はゴキブリ以下だ」

「言ってろクソ餓鬼」

ニヤニヤと笑いながらレン=トータスは一歩。また一歩歩いてエレギオに近づいていった。勿論そのたびにエレギオのドラゴンソウルが火を噴くが男の歩みは止まらない。

「テメエはどうも火力が低い。魔法破壊には驚いたがそんなしみったれた魔力弾じゃ俺を殺すのに兆回かかるぜ。
 その間に俺はテメエをロッドで一万回はぶっ潰せる」

レン=トータスはロッドを振り上げた。この距離ならば一撃必殺。重力操作を使う必要も無い。エレギオに為す術は無い。

「終わりだクソ餓鬼――」

対してエレギオは自分を一瞬でジャンクに変えてしまうだろう鈍器を見てそれでも尚呆れたように肩を竦め。

「なってねえな。糞野郎」

ドン!! と言う音が響いた。
ただしそれはエレギオがロッドに踏み潰された音ではない。
リオンだ。リオンが重力操作によって阻まれるはずの一撃をレン=トータスに叩き込んでいた。

「ぐぉぉぉぉぉぉおおおおおおお!!!!」

虎の様な咆哮が船内に轟いた。レン=トータスのその脇腹からはかなりの出血がある。そのダメージは軽くない。

「テメエの敗因は二つだ。一つ目は遊びすぎたこと。戦いに遊びは持ち込む物じゃねえ」

リオンは先程までのダメージがまるで無かったのかのように振舞っている。回復晶術だ。時間が有ればそれだけ直せる傷の質も癒せるダメージの量も変わる。

「そしてもう一つはリオンが使えない戦力だって認識しちまった事」

「なに……?」

「今この場には俺とリオンがいる。
 リオンはテメエをぶっ潰すのに充分な火力を持ってるがテメエの力のトリック(虚数掌握)が判別できなかった。
 俺はテメエの安い手品を見抜くことはできたがテメエをぶっ潰せるだけの火力が無かった。
 だが二人合わさればどうなるか? こんなのは子供でもわかる。コレが仲間だ糞野郎」

「ほざくなエレギオ。僕はお前を仲間だと認めた覚えは無い。
 僕はお前のように能天気で図々しくて馴れ馴れしい奴が大嫌いだ」

憎まれ口を叩くリオン。だがその表情は言葉とは打って変わって晴れやかで有った。
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