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儚き運命の罪と罰
第二章「クルセイド編」
第二十六話「百万年に一人の可能性」
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できてねえ物質の集合である虚数空間を操り制御する。人の身に余る絶大な力だろうよ。
 だがそんなトンデモ能力でも一つ既存の希少技能(レアスキル)と共通点がある。
 所詮魔力から特定の物質に変換する魔力変換資質とそのプロセスは全く同じって事だ。
 そのプロセスに則れなきゃテメエは『魔力を虚数空間に変換する』って言う魔法は使えねえ。
 なら後は簡単だ。その虚数空間に変換される前の魔力をおはじきみたいにぶっ飛ばしちまえば良い」

エレギオが今言った技は魔法破壊(マジックブレイク)。彼の言ったとおり魔法は特定の方式に則れなければその力を発揮する事ができない。そこに違う方式の魔力を紛れ込ませる事によって魔法を根幹から破壊してしまう。だがそれは有り得ない。それを行なうためには相手が使おうとしている魔法の公式を一瞬で見抜いてさらに一瞬でそこに逆算した『打ち消す方式』の魔力を紛れ込ませなければならない。それはまさに神業と言っても良い事だ。凄まじい演算能力に大胆な判断力と豊富な経験、更には神速で飛ぶ魔力。そのどれもが欠けていても魔法破壊は決してできない。

「……簡単に言ってくれちゃって。変換する前の魔力なんざ針の穴位の大きさだぜ?
 お前の天上眼なら確かにその魔力が虚数空間に変わる瞬間ってのが見えるかもしれねえが、
 それを打ち抜くなんざ夢物語も良いとこだ。それこそトンデモ能力じゃねえかよ」

「オイオイ何寝言を言ってるんだ? 針の穴? それだけありゃ十分だろ。
 俺は場所さえわかりゃあミジンコの目玉だって打ち抜ける。
 確かに虚数空間に変換される前の魔力の場所なんざ人には理解する事なんて不可能だが、覚えとけ。
 テメエが魔力(平常)虚数空間(異常)に変換するなら、俺の眼は不可能(平常)可能(異常)に変換する」

エレギオ・ツァーライトの眼だけでは成し遂げられない業。圧倒的な射撃力と空間把握にスーパーコンピューター並みの演算力。間違いなく次元世界中を探してもエレギオと同じ事ができる魔道士は一人もいないだろう。

「……やれやれ。逃げ回るだけしか脳がねえ乳臭い餓鬼かと思ってたらトンデモねえ。
 やっぱ次元世界最高の賞金首ってのは伊達じゃねえって事ですか」

「イカレ方ならテメエの方が上だろ」

エレギオはうんざりした顔で貨物の一つを蹴飛ばした。

「コレしか方法はねえと思っていたが流石に呆れたよ。
 幾ら俺の眼を避けるためとは言え、テメエでテメエを冷凍して仮死状態にして俺が襲撃しそうな船を選んで潜り込むとはな。
 管理局に見つかったら抵抗できねえだろうに。どうするつもりだったんだか。
 時空管理局には長年ストーキングされて来たがここまでイカレたストーカーも見たことねえよ」

「仕事熱心だって褒めて欲し
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