第二章「クルセイド編」
第二十六話「百万年に一人の可能性」
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さなくちゃなぁ。どう思うね青年?」
「一つ訂正してやる。ソイツは『戦った事が無い』って言ったんだ。それは事実だぜ?
嘘は吐いちゃいねえんだよウサギちゃん」
「何だよウサギちゃんって」
「鏡見てみろよ。真っ白な肌に髪。ついでに真っ赤っかなおめめ。こりゃ立派なウサギだわ」
「ほざくねえ。まあ良いや。どの道テメェはぶち殺すの確定してたし順番が変わるだけ、か」
レン=トータスはチロリと唇を舐めロッドを振りかぶる。リオンを一方的に打ちのめした烈風の攻撃を放とうとして――
「テメエの顔見て思い出したよ」
エレギオのドラゴンソウルの銃口が火を噴いた。
「ガキの頃ニュースで科学者が『百万年に一人の可能性』だとか言って騒いでたな。
レン=トータス。十年前に次元世界に突如現れたこの世でもっとも不可思議な希少技能の持ち主。
テメエは百万年に一人の逸材『虚数掌握』……虚数空間を作り操る魔道士だ」
虚数空間を操る。
虚数空間は魔力を打ち消し、無限の重力を生み出す空間。それを作り出し自在に操るということはこの世のほぼ全ての魔道士に対し絶大な力を得る事ができると言う事だ。何せ虚数空間を作って盾にしてしまえばどんな魔法をも打ち消してしまえるのだから。
「テメエがそいつに対してやったこともおんなじだ。
虚数空間を操れるって事はその副産物として重力操作も使える筈だからな。
重力を操ってテメエのロッドに重さと速さを加えたんだ。分かればこれ以上サムイ手品もねえ」
烈風の攻撃が吹き飛ばすはずだったエレギオは依然として其処に立っていた。
と言うよりも、放たれたはずの烈風の方こそ打ち消されてしまった。
「そんなサムイ手品が、このエレギオ・ツァーライトに通用すると思ったのかよ」
ドラゴンソウルの銃口が灰色の魔力の火を噴くたびにレン=トータスを追い詰めていく。その正確かつ無慈悲な射撃は虚数空間を操るこの世でもっとも不可思議にな魔道士に反撃の機会さえ渡さない。
「……おいおい、幾らタネが分かっても虚数空間を打ち消せる訳がねえだろ。
虚数空間は全ての魔法を根幹となる魔力ごと打ち消す力。
それは誰にだって変えられない事実のはずだ」
「そうだな。確かに虚数空間は破れねえ、だが」
ドラゴンソウルは一際大きく射撃音を鳴らし、男の肩を打ち抜いた。思わずレン=トータスは顔を歪め二歩、三歩後退する。
「虚数空間になる前の魔力なら話は別だろ?」
自信たっぷりな声でエレギオは告げてやる。
その声には勝利の確信が滲み出ていた。
「テメエの『虚数操作』は確かに不可思議な力だ。
未だ魔法でも説明の
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