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儚き運命の罪と罰
第二章「クルセイド編」
第二十六話「百万年に一人の可能性」
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をするなよ。
 僕達が行なっているのは単なる殺し合いだ。
 それ以上でもそれ以下でもない」

「一々ごもっともだな」

レン=トータスは情報が得られなかったことに落胆したのか肩を竦め溜息をついた。
リオンとしてもあんな男を態々喜ばせてやるつもりもない。剣を構えて再び晶力を捏ね上げる。まだレン=トータスのカラクリも理解できてはいないし、理解できなければ勝ち目もきっと見出せない。そうと分かっていて尚、それでもリオン・マグナスは剣士として『敵』に背中を見せる弱さは持ち合わせていない。

「坊ちゃん……」

「心配するなシャル。あんな下衆に僕の首をくれてやるつもりもない」

そして今度こそ。
リオン・マグナスは吹き飛ばされ、壁に叩きつけられた。
まるで風のハンマーだった。男がロッドを薙ぎ払う事によって生み出された烈風は形無き打撃となって小柄なリオンの体を難なく吹き飛ばす。まるで神の目によって呼び出されたドラゴンのブレスのような破壊力。その大部分をリオンは卓越した技量で受け流す事に成功したがそれでもそのダメージは軽くない。

「ぐ……はぁ」

「なあ今後悔してるか? 後悔ってのは(あやま)ちから生み出される感情でね。
 お前の(あやま)ちは俺を敵に回しちまった事だ。精々地獄で噛み締めろ」

勝利を確信した男はただただ獰猛に笑う。レン=トータスは確信していた。目の前で倒れる少年は英雄(ヒーロー)ではない。どちらかと言えば悪党だ。自分のように単純な悪党で無いかも知れないが悪党にてを差し伸べるやつはいない。そんなリオンに慈悲をかけてやる理由も何処にも存在しない。迷わずロッドを振り下ろそうとして――


「ありゃりゃ。どうなってんだぁ? 何で『本命』君がここにいるんだよ」


訂正しよう。悪党に手を差し伸べる者はいる。同じ悪党だ。
悪意に満ちた笑みを浮かべ、ライフルを肩に担いだ少年の姿はまさに悪党。
だが悪党にも仲間はいる。
今この場において。
悪党エレギオ・ツァーライトはリオン・マグナスのこれ以上無い最高の『仲間』だった。

「シケた遊びしやがって。もっと楽しい事考えられねえのかよ?
 ……あ、悪いお前の頭脳サル並(IQ80)だったな。
 サルには人間とおんなじことはできねえか」

「言ってくれちゃってまあ。
 今の台詞『お願いします。盛大にブチ殺してください』って翻訳しても良い?」

「誤訳だ誤訳。ま、アレだな。
 そいつがどう思ってるかは知らねえが俺にとっては仲間なんだわ。
 俺としては時間も無いことだしさっさと連れて帰りてえんだ糞ボケ」

「んー? さっきコイツはテメエの事なんか知らないって言ってたけどな。こりゃイケねえ。
 良識溢れる大人として嘘吐きは尚の事ぶっ殺
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