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儚き運命の罪と罰
第二章「クルセイド編」
第二十六話「百万年に一人の可能性」
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《、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、》。手段が無い、と言うことは見当たらないと言う事でつまりリオンには男が行なおうとしている攻撃の形も見えないと言うことだ。形も見えずただ本能だけが叫んでいる物を一体どうやって理解しろと言うのか。

そしてリオンの悪い予感だけが的中した。

「ぐっはぁ……ッ!?」

突如として何か重い物がリオンの背中に襲い掛かる。空中を飛んでいたリオンは殆ど無抵抗にその体勢のまま地面に叩きつけられた。余りにも予想外な攻撃に防御する事もできず骨が(きし)む。そして男のロッドはその隙を見逃さなかった。ニタニタといやな笑いを浮かべながらロッドが迫る。

「柔招来!」

半ば咄嗟の判断でリオンが扱える気孔術である『柔招来』を発動させた。水の晶力を使って体を癒すのと同時に障壁を張る。かなり有用な技だ。だが柔招来は飽くまでも保険の様な物。たかが保険如きではこの台風のエネルギーを直接叩き込まれるような一撃を防ぐなどできるはずもない。

「グオッ、ガハ……ッ」

まるでサッカーボールのように吹っ飛ばされ二度、三度とバウンドしながら吹き飛ばされたリオン。全身の骨を粉砕されたように錯覚した。それだけの圧倒的な威力。悪夢的なダメージをレン=トータスと言う男はリオンにたたきつけた。ごろごろと転がって壁に当たって漸く止まる。

「坊ちゃん!」

主人のダメージにシャルティエも悲鳴の様な声を上げた。即座に回復の晶術が発動する。何とか立ち上がり追撃から逃れるべく大きく後ろに飛んだ。いつものリオンなら鼻歌を歌いながらできる行動。なのに今は着地の衝撃だけで声にならない悲鳴が漏れる。

「平気だ……シャル」

息も絶え絶えの声で、平気だと伝わる訳もなかった。そんなリオン達を尚レン=トータスは嘲笑う。

「剣を使うのに距離を取るって正気かねお坊ちゃん?
 そんなに俺のロッドの一撃が怖いかい。やっぱゆとりだねぇ」

そう、リオンは剣士だ。敵に接近しなくては威力を発揮できない武器の使い手だ。
だがそれでもリオンは距離を取る事を選択した。それはリオンが恐怖している事を何よりも如実に表していた。それ程に恐ろしすぎる破壊力。レン=トータスの強さはかつて戦った高町なのはやプレシア・テスタロッサの比にならない。経験、センス、力、何もかもが彼女たちとは桁違いだ。唯一彼女達が勝るとしたらその心か。
だがリオンの闘志が燃え尽きた訳ではない。

「なめるなよ……!」

回復晶術が行き渡りリオンの傷を癒していく。
内部の回復から外部への放出。
受動から能動へと。
そしてリオンは高らかにシャルティエと声を合わせ晶力を解き放つ。

「「グランド・ダッシャー!!」」


直後、船の床にビキビキビキィッ! と亀裂が走る。
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