第二章「クルセイド編」
第二十六話「百万年に一人の可能性」
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リオンが輸送船『オリアナ』に潜伏していた頃。
エレギオはジャックと共に天上眼と次元跳躍弾を用いて支援を行なっていた。元々こういった潜入作戦の時にはエレギオが単身で乗り込んで制圧、万が一の時にはドラギオンの直接火力で……と言う方法を取っていた。エレギオはエース級魔道士で具体的な魔道士ランクは管理局員でも反管理局連合の構成員でもないため測れてはいないがSランク以上にはなると自負している。そんな高い実力もあってこの方法で失敗した事は今の所無い。
だがこの方法はじつは非常に効率が悪い。と言うのもエレギオの魔道士としての戦い方に合っていないのである。エレギオは天上眼と言う強力な希少技能に加え戦いのセンスと細かい技巧、心理的な駆け引きに凄まじい数の並列思考などと言ったよく言えば技巧的、悪く言えば厭らしい武器を持っている。デバイスのドラゴンソウルが取っている姿の銃剣も巧みに使いこなし近距離、中距離、長距離に加えさらには50km以上の超長距離の狙撃までこなせる男だ。だがそんな彼には決定的に欠けている物がある。直接的な火力と殲滅力だ。
これはエレギオの努力云々ではなくもって生まれた才能……と言うよりもリンカーコアに起因しているのだ。エレギオは他のエース級魔道士と呼ばれる者達に比べて魔力の出量が極めて低いのである。どういうことなのか水で例えると他のエース級魔道士……例えばフェイトはホースで水が放出できるのに対してエレギオは精々我々が日常で浴びるシャワー程度しか放出できないのだ。よってエレギオは広域殲滅魔法や大火力の砲撃魔法は使用できない。制圧や殲滅を目的とする戦いにおいてこれは致命的とさえいえる欠点である。
だがそんなエレギオに対してツァーライト一味の前にある日突然現れたリオンは凄まじい火力の持ち主だった。更にいえば近距離と中距離においてなら確実にエレギオを凌ぐ技量をも持っていてオマケに回復まで使える。総合すればエレギオの強さをも上回るかも知れない。そんな彼が潜入作戦の中心に抜擢されたのも自然な流れと言えた。
実際作戦は順調に進んで(途中エレギオがドスの聞いた声を発する場面があったが)ほぼ全ての貨物を『オリアナ』から奪う事に成功していた。
だが物事上手い事ばかりには行かないものである。
天上眼を用いて戦況を把握し続けリオンに正確な指示と援護を送っていたエレギオは突然血相を変えて立ち上がった。
「エレギオ……?」
そのただ事ならぬ友の様子を見てドラギオンの操縦席に座るジャックは振り向いた。
だがそんなジャックの声も耳に届いていない様子でエレギオは今まで支援に使ってい
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