第一幕その四
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」
「そうなの。じゃあ皆で何処かで楽しくやっているのね」
「多分ね」
「じゃあいいわ。ところで」
ローラはここでサントゥッツァに顔を向けた。皮肉な笑みを口の端に浮かべている。
それに対してサントゥッツァは暗い顔で彼女を睨むだけであった。それだけで精一杯であった。
「何を話していたの?」
「大したことじゃないさ」
トゥリッドゥはそう返しただけであった。だがローラはここで言ってきた。
「てっきり広場でミサをしているのかと思ったわ」
破門されているサントゥッツァへの皮肉であった。これ以上ない皮肉であった。
「違うわ」
サントゥッツァは怖気ずにそう返す。
「あそこは昼に行くには罪がないと思っている人だけが行くのだから」
「破門とかそういうことは関係なしに?」
「ええ」
毅然としているように態度をとったがやはりそうはいかなかった。弱かった。
「私はそう思うわ」
「御立派なこと」
それに対してローラはやはり嫌味で返した。
「それは貴女にお返しするわ」
「あらあら」
「ローラ」
その陰にこもりながらも熾烈なやり取りにトゥリッドゥはうんざりしていた。それでローラに声をかける。
「俺の店に行こう。いい酒がある」
「いえ、ここにいるわ」
だがローラはそれを受けようとはしない。サントゥッツァを見据えたままだ。
「別に何もないけれど」
「私も何もないけれど」
サントゥッツァもそれは同じだった。二人は互いを睨み据えていた。
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