GGO編ーファントム・バレット編ー
45.依頼
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ね。一口くれないか」
ため息をつき、キリトと顔を見合わせたとともに、皿を菊岡の前に押しやった。するとミルフィーユの半分以上を奪い去っていった。
「しかしねぇ、キリトくん、シュウくん。僕は思うんだけどね......なんでPKなんてするんだろうね。殺しあうより仲良くするほうが楽しいだろう?」
「......アンタだってALOをプレイしてるんだから、少しは解るだろう。フルダイブ技術が出てくるずっと以前から、MMORPGってのは奪い合いなんだよ。さらに言えば、エンディングのないネットゲームにユーザーを向かわせるモチベーションは、突きつければ......優越感を求める本能的な衝動なんだと、俺は思う」
キリトが話し終わるとすぐに俺が口をもぐもぐさせる菊岡の顔を見る。
「この話が何か本題に関係してるのか?」
口の中をカラにしてから菊岡はタブレットを操り、俺たちに見せる。
「それじゃあ本題に入ろうか」
そこには、液晶画面に見知らぬ男の顔写真と、住所等のプロフィールが並んでいる。長髪、銀縁の眼鏡、頬や首にはかなりの脂肪がついている。
菊岡はタブレットに指先を走らせる。
「先月......十一月の十四日だな。東京都中野区某アパートで、掃除をしていた大家が異臭に気付いた。発生源と思われる部屋のインターホンを鳴らしたが返事がない。電話にも出ない。しかし部屋の中の電気は点いている。これはということで電子ロックを解錠して踏み込んで、この男.......茂村保二十六歳が死んでいるのを発見した。死後五日半だったらしい。部屋は散らかっていたが荒らされた様子はなく、遺体はベットの横になっていた。そして頭に......」
「アミュスフィア、か」
キリトが呟く。
菊岡は軽く頷く。
「その通り。ーーすぐに家族に連絡が行き、変死ということで司法解剖が行われた。死因は急性心不全となっている」
「心不全?ってことは心臓が止まったって事だろう?何で止まったんだ?」
「解らない」
俺とキリトは言葉を失う。
「死亡してから時間が経ちすぎていたし、犯罪性が薄かったこともあってあまり精密な解剖は行われなかった。ただ、彼はほぼ二日に渡って何も食べてないで、ログインしっぱなしだったらしい」
ログインしっぱなしは珍しくない。仮想世界で食べ物を食べれば偽りの満腹感が発生し、数時間は持続する。だが、そんなことを繰り返せば当然、体に悪影響を及ぼす。
「それがどうしたんだ?VRMMOがと何の関係が?」
菊岡はちらりと端末を見ると少し躊躇ってから口を開く。
「《ガンゲイル・オンライン》って知ってるかい?」
「ガン......げいる?」
「日本で唯一《プロ》がいるMMOゲームだ。プレイしたことは
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