第二十五話 戦火の足音
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ーンを占領する事です。ヤン・ウェンリーに戦術レベルで勝つ必要は有りません。相手が手強ければ動けなくすれば良い。先ず同盟軍に対して今回の一件を通知します、そしてフェザーンの自治権剥奪は帝国内の内政問題である事を強調する』
「意味が有るのか、そんな事が」
反乱軍にとってもフェザーンを取られるのは死活問題のはずだ。そんな事で引き下がるとは思えない。皆も頷いている。
『少なくともレベロ議長にとっては同盟市民に兵を出さない理由として説明しやすいでしょう』
「しかし……」
反論しようとする私を黒姫が手を上げて押し留めた。
『帝国は同盟に対して地球教の禁教を依頼します、その時昨年の内乱で地球教徒がトリューニヒト前議長を匿った事を指摘すればレベロ議長は震えあがるでしょう。自分の足元に恐ろしい陰謀家達が居る、とね。その状態で艦隊を全てフェザーンに振り向けられると思いますか?』
彼方此方から唸り声が聞こえた。確かに兵を出すのは難しいかもしれない。
『無理ですよ、とてもでは有りませんが兵など出せない。昨年の内乱を嫌でも思い起こさずにはいられないでしょうね』
「……ヤン・ウェンリーだけでも出てくれば厄介な事になるが」
敢えて疑問を提示してみた。黒姫は何処まで考えているのか、それが知りたい……。
『同盟にはイゼルローン要塞もアルテミスの首飾りも有りません。彼らの首都星ハイネセンは丸裸なんです。フェザーンに艦隊を向ければイゼルローン方面から艦隊が押し寄せた時防ぎ切れない。今の同盟に侵攻作戦など無理です、彼らには敵を引き摺り込んでの防衛戦しか手は有りません。フェザーン出兵などやるだけ無駄です』
「……」
『それでも兵を出すと言うのなら帝国の内政問題に介入しようとしていると非難して全面戦争に踏み切ると脅せばよいのです。同盟政府は兵力不足、帝国の内政問題、地球教対策を優先すると同盟市民に説明して帝国との全面戦争を避けるしかない』
皆無言だ、黒姫の頭の中では既にフェザーン征服戦は終わっている……。
「……ここからは競争か」
ローエングラム公が呟いた。競争?
『そうです、帝国がどれだけ早くフェザーンを掌握し同盟領侵攻時の後方基地に出来るか、同盟がどれだけの戦力を整えられるか、それによって同盟の抵抗がどの程度の物になるかが決まります』
なるほど、その競争か。宇宙統一が間近に迫っているというわけだ。皆が顔を見合わせた、静かに興奮を見せている。
「ロイエンタール、ミッターマイヤー、直ちに艦隊を整えフェザーンに向かえ!」
「はっ」
「ワーレン、卿に地球討伐を命じる。地球教徒の巣を叩き潰せ!」
「はっ」
「フェルナー、ボルテックを逮捕しろ!」
「承知しました」
ローエングラム公の声が会議室に響いた……。
帝国暦
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