第二十五話 戦火の足音
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見る物、見える物、考える事は違ってくる。それだけの事だ、気に病む事は無い』
「……」
淡々とした口調だったがフェルナー長官が苦笑を浮かべた。同情されたと思ったのかもしれない。私自身、苦笑を浮かべざるを得ない。
『だがこれからは別だ。アントン・フェルナー、卿は帝国軍の中枢に居る。もう出世だけを考えれば良い気楽な立場ではいられなくなった。帝国、同盟、フェザーン、地球……、それぞれがどう動くのか、そして宇宙はどう変わるのかを卿は考えなければならない。その中でこれまでは見えなかった物が見えてくる事も有るだろう……』
「そうかな……、そうだといいんだが……」
『自信が無いなら辞めれば良い、私は止めるつもりは無い。これは卿自身の問題だ、私がどうにか出来る問題じゃない』
「そうだな……」
黒姫が大きく息を吐いた、世話が焼ける奴、そう思ったのかもしれない。そしてローエングラム公に視線を向けた。
『元帥閣下』
「何か」
『これを機にフェザーンの自治権を取り上げ帝国の直轄領にするべきかと思います』
会議室に緊張が走った。ローエングラム公が眉を寄せた。そしてフェルナー長官を始め皆が顔を見合わせている。
「なるほど、フェザーンを征服せよ、卿はそう言うのだな」
『はい、二個艦隊も送れば十分に可能でしょう』
「ふむ、キルヒアイス、どう思う」
ローエングラム公がキルヒアイス提督に声をかけた。
「フェザーンを手に入れる事が出来れば反乱軍との戦争で圧倒的な優位に立てます」
「そうだな」
ローエングラム公が今度は我々に視線を向けてきた。どう思うか、意見を述べろ、そういう事だろう。
皆が顔を見合わせた。嫌悪感、侮蔑感を出している人間は居ない。フェザーン征服に反対を表している人間は居ないということだ。ロイエンタール提督が口を開いた。
「異存は有りません、問題は反乱軍がそれを認めるかどうかです……」
「ヤン・ウェンリーが出て来るでしょう」
ロイエンタール提督の言葉にミッターマイヤー提督が続いた。確かに反乱軍にとっては受け入れがたい事態だろう、となればヤン・ウェンリーが出てくる可能性は高い。反乱軍の艦隊戦力は最大二個艦隊、全てを出してくるとは思えんが……。
「兵力が少ないのではないかな、反乱軍を圧倒するのであれば二個艦隊と言わず五個艦隊も動かした方が良い様な気がするが……」
私の意見に何人かが頷いた。皆がヤン・ウェンリーの手強さを理解している。
『その必要は無いでしょう、二個艦隊で十分だと思います』
「過小評価だ、高を括るのは危険だ」
黒姫は笑みを浮かべている。ヤン・ウェンリーを甘く見ているとしか思えない。イゼルローン要塞攻略ではあの男の隙を突いた形になった。しかし今度はそうはいかない。
『こちらの目的はフェザ
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