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カヴァレリア=ルスティカーナ
第一幕その二
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き続ける。
「讃えて歌おう、主は亡くなられてはいない」114
 教会からキリストを讃える歌がする。その中にはアルフィオの声もあった。
「主は光り輝いて墓を開かれた」
「そう、主はそうして天に昇られたわ」
 サントゥッツァはその歌を聴いて呟く。
「けれど私には」
「サンタ」
 泣きそうな顔になった彼女をルチーアがまた気遣う。
「落ち着いてね」
「落ち着いているわ」
 それでも彼女の顔は悲しいままであった。
「けれど」
「けれど。何?」
「私は今は教会には入られない。この日も祝うことが出来ない」
「けれどそれは」
「それをどうにかしてくれるのは彼だったのに。トゥリッドゥだったのに」
 声も泣きそうになっていた。
「ルチーアさん」
「サンタ」
 ルチーアは優しい声でサントゥッツァの仇名を呼んだ。
「はい」
「貴女は私の息子と婚約しているからお母さんって呼んでいいのよ」
「えっ」
 見ればルチーアは優しく微笑んでいた。まるで母親の様に。
「けれど」
「いいのよ。貴女、身寄りもないのでしょう?」
「はい」
 こくりと頷く。その通りだからだ。
 サントゥッツァは他に兄弟もなく親戚もいない。天涯孤独なのだ。両親は彼女が破門される前に相次いで病気で亡くなっている。その寂しさに負けて不倫をして破門されたのだ。若し彼女に家族がいればこんなことにはならなかったであろう。思えば悲しいことだ。

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