第3話 袋の鼠がアルマジロ
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衝突せず全速力で駆け出した。その勢いでビニールテープのハードルを飛び越える。
「止まりなさい!」
スーツの男が少女に立ち塞がった。
少女は着地と同時に左にステップした。
「っ!」
男がそれを追おうとした時には少女は前に駆け出していた。
ガシッ
しかし少女は誰かに肩を掴まれた。
「っ!」
少女は振り返った。
少女の肩を掴んでいるのは、見知らぬ30代位の女。瞳に涙を滲ませている。
「目を覚まして!悪太郎はもう、息をしていないのよ!」
「人形が息をしていたらホラーです!」
少女はもがくが、女の力は見た目からは想像出来ない程強い。
『…2つ目、プール近くのゴミ袋を入れる一輪車がいつもある付近』
後ろでは、教師と白衣の男がまだもめている。生徒なら多少の無茶は口頭注意で許されるが、教師はそうはいかない。
(あと生徒が1人…!)
『3つ目、七弓の最寄りの薬局の駐車場』
少女は後ろの様子を目で探った。
(…いた!)
少女は味方を見つけた。
「河原君!」
呼ばれた河原 大和(ヤマト)はビクッと反応すると少女の方を向いた。
「…な、なんですか?」
大和は明らかに巻き込まれたくなさそうだが、少女にはそんなことを気にしている余裕が無かった。
「ちょっと手伝って!」
「あ…はい」
『さて、我々の一番告げたいことは告げ終わった。そろそろ終わりにするとしようか』
大和がビニールテープを跨いだ。
少女はすかさずアンダースローで、大和に鍵を投げた。
「っ」
大和は半歩退きながらもそれを受け取った。
『3、』
少女を拘束していた女が大和に向かうのを少女は腕を掴んで阻止する。
『2、』
「悪太郎ー!」
女はそう叫びながら体を回転させて少女を振り払うと大和に近づいた。
『1』
バタタタタタ…
少女達を妨害していた人達が急に、力を失ったかのように倒れ込んだ。
「うわっ!」
大和は拒絶するようにその場を飛び退いた。
「何…、これ…?」
少女は何が起きているのか理解出来なかった。
「…」
大和もその場に立ち尽くしている。
少しして少女ははっと我に返った。
「河原君!鍵開けて!」
少女の声に大和も正気に返ったようだ。
「あ、はい!」
大和は鍵を開けた。そして扉を開けようとしたが、揺れるだけで開かない。
(…内側から押さえられてる?)
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