第十二話
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いた。
「もっと強い弓を引けるようにしないと当たっても鎧で止まってしまいますから、まだまだですわ 」
話している間に的に当たったり自分で外した矢を拾い集めてレンナートさんが戻ってきた。
「そして、強い弓を引くと・・・こうですもの 」
取り替えた弓を構えて、彼女が顔を真っ赤にして引いた弦は矢を飛ばすには明らかに足りない。
「いずれ引けるようになりますよ 」
俺がそう言うと。
「それは嬉しくもありますが、そうなると腕が太くなってしまいそうです。そうなってしまったら殿下に呆れられてしまいそう 」
先程力いっぱい力を入れて真っ赤になった顔よりも頬を赤らめてセルフィナさんは言った。
「草原を駆けている馬も鹿もあれほどの早さで駆けるのに、その脚は細く美しいです。
姫があの弓を引けるようになった時、今よりもしなかやかで美しくなられているとわたしは確信しております 」
我ながらキモいこと言うなとは思ったのだが、
「ミュアハさまは、おじょうずで困ってしまいます。」
セルフィナさんは顔をさらに赤くしてもじもじしていた。
「やや、姫を困らすとは大悪党、こらしめねばなりますまい。」
俺は笑ってそう言うと軽く握り拳を作って自分の額を軽くこずいた。
「まあ、ふふふ。」
セルフィナさんのかわいらしい笑い声が耳に心地よかった。
そのあとしばらくしてドリアス伯爵の居館に早馬が訪れた。
何かあったのかと思い、セルフィナさんにお礼を述べて館を辞去し、レンナートさんを伴って王宮へと戻るとそこは騒ぎの渦であった。
ミーズ城陥落、思いもよらない悲報に王宮は揺れていた。
時はグラン歴747年
→つづく
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