暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
SAO編
episode1 スピード&パワー2
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 キリトの剣が、最後の一体を斬り飛ばす。
 ……ん?最後の一体?

 気がつくと、広間を埋め尽くさんばかりのゴブリン達が、すっかりしっかり全滅していた。っていうか、明らかに30以上はいたよな? まだ狩り始まって5分も経っていないと思うんだが、あの男、どんだけのペースで狩り続けてやがったんだ?

 「第一波、終了か?」
 「いや、違うな」

 俺の呟きを、耳聡くキリトが捉えて反論する。なんだ、聞き耳スキルでもあげてんのか? そんなもん上げるくらいだったらもっといいスキルあるだろうに。

 ちょっとからかってやろうと見たら、キリトの横顔は、マジだった。
 目は、真っ直ぐに広間の天井を見つめている。

 と、その天井が、砂埃を起こしながら揺れ始めた。地震でも起こったのかといいたくなる振動の中、天井の一部が、ゆっくりとこちらへと…いや、ありゃ、天井じゃない。

 「上の階への、隠し階段じゃねえか! この塔、四階までじゃなかったのかよ!?」
 「多分お前のやってるクエストがフラグなんだろう。ほら、クエストボスのお出ましだ」

 くい、とキリトが顎をしゃくる。隠し階段が地面へと達し、小刻みな揺れが収まった…かと思ったら、今度はガツン、という大きな振動がフロアを揺らしだした。ドスンドスンというそれは、なにか大きなものの…足音。俺が受けた『盗まれた財宝』クエの情報では、「巨大な剣を持った、他とは比べ物にならない大きさのゴブリン」がそれを持っている、ことになっている。

 つまり。

 「うおお。でけえ」

 階段を下って現れたのは、他のゴブリンに比べると一回りも二回りも大きな、褐色の巨人。識別スキルでみられた名称は、「Goblin General」、ゴブリンの将軍、か。軍隊でもないのになんで将軍なんだ、というのは野暮な突っ込みか。レベルは、そこらのMobより5も高い。

 とりあえず、ボスであることを示す定冠詞こそ無いものの、それでも中ボスクラスであることは間違いない。装備も他のゴブリンとは比べ物にならないほど揃っていて、褐色の肌を頑丈そうな黒革の鎧で包み、手足には金属製の籠手と具足。そして。

 「片手剣、だぞ。よかったな、キリト」
 「まだ落とすと決まったわけじゃない。が、期待は出来そうだな」

 キリトが、にやりと笑う。

 ボスの武器は、右手に握られた巨大な直剣。普通のプレイヤー用のそれと比較するとはるかに長く重厚なそれは、恐らく威力も相当なものに違いない。

 キリトがこのクエストに協力してくれた…というか、俺の頼みを聞いてくれたのは、このためだ。街でのクエスト依頼を受けた時に「巨大な剣を持った」という説明があったからには、そのドロップがあるのではないかと考えるのが常識だ。キリトの方は「両手剣だ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ