SAO編
episode1 ソロプレイ野郎共3
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「いってえな…殴ることねーだろ…ここ安全エリア外なのに…」
「うるせ。MPKかけときながら金を毟ろうとする奴にそんなことを言う資格はない」
連れだって歩きながら、四階への階段を上っていく。
キリトの暴力を背景とした交渉術により同行を余儀なくされた俺は、結局キリトと一緒に四階へと赴いて、レベル上げスポットでのMob狩りの手伝いをする、ということで手打ちとしてもらうことになったのだ。
まあキリトはちょっとまだ若いところがあるが基本的にいいやつであり、今回も暴力を背景としたわりには良心的な申し出と言えただろう。俺はクエストフラグのため、キリトは経験値稼ぎのため、二人の利害は一致している。さらにこの男、恐らく出現するだろうクエストのボスも手伝ってくれるらしい。まったく、ソロのくせに付き合いのいい奴だ。
辿り着いた目的の四階は、これまでのような複雑で立体的な構造はしておらず、ただ広々とした部屋があるだけ。罠の類はいくらかあるものの、俺もキリトも『索敵』のスキルは十分にあり、罠を見抜くことに難はない。
そして、お目当て通り。
「やっぱ、多いな…」
「ま、狩り場だしな」
フロアに出てわずか数秒、周囲の柱の影から、一気に無数のゴブリン達がポップし始める。さすが単純条件で最も効率がいいと思われる狩り場。ポップには事欠きそうにないな。キリトが剣を構え、俺が駆け出す姿勢をとる。
「んじゃあ、手はず通りに」
「おっけー。俺はパリィとタゲ取りに集中して、キリトが仕留める。ボスが出たら、キリトがそいつの相手、俺は周りの雑魚をトドメ含めて」
「経験値は俺、ボスのドロップアイテムはシド、Mobドロップは落とした奴が貰う。んじゃ、いくぜ」
クエストボスは、一定数のゴブリンを倒すことによって出現するらしい。
ゴブリン達が俺達に気付く直前、キリトが『隠蔽』スキルを発動し、ゴブリン達からある程度隠れる。同時に俺が床を蹴って、ゴブリンの一団…特に、投げナイフ使いの多い一角へと突進する。
『敏捷』補正、最大化。
突進の先にいた剣を持ったゴブリンが、俺との衝突にあわせて剣を振りかぶる。その動作が、やたらとゆっくりにみえる。一気に加速する体を感じながら俺は引き絞った右手で振り下ろされる直前の剣の横腹を弾き飛ばす。『体術』スキル、《クラッシュ・ハンド》。
「やああっ!!!」
周囲のモンスター達が、奇声を上げながら俺へと駆け寄ってくる。思い出すのは、小学校のころのどろじゅん遊びで、最後に残った一人を全員で追いかけまくるの図か。
だが、これは俺の得意とするスタイルの一つ。
追いすがり、ナイフを投げるゴブリン達を、俺は鍛えた反射神経でかわし始めた。
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