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ISーとあるifの物語ー
1.終わりの始まり
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1.終わりの始まり




「ーーーーーーこれが、一流の悪党だ」


目の前に迫ってくる黒い奔流を眺めながら、ふと聞こえたその言葉。


『一流の悪党』

果たして俺の何がいけなかったんだろうか…上位個体(ひとじち)を取り、相手の心境を揺さぶりをかけるなどしたが結局あいつには適わなかった。
能力云々の問題じゃない。はっきりと『格の違い』とやらを見せつけられたら瞬間だった。


暗部組織『スクール』のリーダーとしての威厳を保つために下っ端をこき使い、結局能力(チカラ)でしか信用を得ることが出来なかった自分と、どこぞの無能力者に倒されてから、まるで今までが嘘のように、あの第三位のクローンの為に文字通り体を張って守り抜いた第一位(あいつ)
考えてみれば、どちらが強いのかは一目瞭然だ。
そういえば昔、まだ幼い頃の俺に独りの研究者(あいつ)が言ってたっけ。


『護るものがある人間ほど怖いものはない』って。

その時は言ってることが理解できなかったが、今になってようやくわかったよ。
ああ、確かにアイツは強ぇ…。悔しいけどな、認めるしかねぇ。そりゃあ俺と違ってアイツは持ってるんだから、『護るべきもの』ってやつを…。

ああそうさ、認めたくねぇがその通りだよ。

『俺はアイツが羨ましかった』

同じこの学園都市の闇を知り、クソみたいなとこで過ごしてきた俺達。
お互いに面識があるわけでもなく、ただ高位能力者ってだけの繋がり。来る日も来る日も実験などの毎日。そんな生活をお互いに過ごし、そして暗部組織という『学園都市の闇』に関わって生きてきた。


だからこそ羨ましかったのだ。
普通の生活。普通の日常。そんな一般人が当たり前のようなことは俺達にとって当たり前ではない。
部下の手前だから強がってしまったが、ホントは羨ましかった。
そして思ったんだ。『なんでアイツだけ』って。


俺だって、他の奴らだって、口や態度にはださなくとも表の生活に憧れてる奴はいる。
甘ちゃんだと自分でも思うが、仕方ないのだ。だから俺はむやみやたらに一般人を傷つけない。
そうすることで、なんだか一般人(ふつうのひと)のようだと理性を保てるからだ。
そう思うことで、今まで暗部組織という腐った所でもなんとか一般人に近い自我を保っていた俺。
結局俺は、悪党にもなりきれず、かといってアイツのように普通の生活に戻る訳でもない、いわばどっちつかずの『中途半端』だったってわけだ。

なるほど、そうかんがえたら負けるのも当然だよな…。
何だって俺は紛い物…羨ましいとは思っても、どこかで『俺には無理だ』と諦めてしまう。
それが暗部というある意味普通の大人でも体験しないシビアな世界に生まれたからなのか…出来る出来ないの
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