Episode8:九十九家のお仕事
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にして、生を目の前に吊るされている感覚。この暗殺者の言うとおりにすれば、自分はまだ生きていられる。しかし、そんなことを、この男が許せるはずもなかった。部下が皆死んで、自分だけが生き残る?冗談ではない。そんなことは不可能だ。
「教えられんな。さあ、殺せ。私の大切な者たちは皆死んだ。ならば、私がこの世に存在している理由はない」
震える声で、男はそう言った。すると、目の前に音も無く、漆黒のタキシードを身に纏った男が表れた。
『……残念だ』
そう、一声。そのすぐ後にはもう、男はいなくなっていた。逃げたのではない。隼人の特異魔法である『消失』によって、この世から存在を消されていた。
☆☆☆
ブランシュの日本支部を一人で壊滅、いや消去した隼人は被っていたお面をとって、深々と溜め息をついた。
「大切な人たちなら、巻き込むんじゃねえよ」
湧き上がる怒りで、隼人の口調は元の自分のものに戻ってしまっていた。人をその人のサイオンごと消去するのは、これで恐らく3桁の数に昇るだろう。
「俺は多分、感覚が麻痺してんだろうな」
人を殺す、または消すことへの罪悪感がない自分を、隼人は内心で恐れた。
見上げた空には、綺麗な満月が、隼人を照らしていた。隼人の仕事を見ていたのは、満月だけだった。
――to be continued――
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