Episode8:九十九家のお仕事
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「うーー、た・だ・い・まぁ〜〜〜〜〜………」
「あら、おかえり隼人」
「ん?……ちょ、ちょっと待って姉さん。貴女、今、ドコでナニしてんですか?」
学校から帰ってきてみると、なぜかリビングに姉さんがいなかった。そして声が聞こえてきたのは、奥。台所のほう。確信にも似た絶望を覚えながら、それでも一抹の希望に縋ってみる。
「ドコって、もちろん台所よ。台所と言えば、料理、よねえ」
瞬間、俺は自己加速魔法を発動した。靴を脱ぎ捨ててリビングをぶっ飛ばして台所にたどり着く。そこにある光景を見て、俺は危うく『力』を解放しそうになった。
「ねえ、姉さん。ソレ何料理?」
「うーん、と。マンドラゴラとー、スカイフィッシュとー、河童とー、イエティとー」
「も、もういいよ……」
姉さんはどうやら、地球の謎を全て解明するつもりらしいです。学者さん涙目だね。
「あ、もうちょっとでできあがるから待っててね」
「……あ、もしもし鋼?うん。ちょっと今日さ、うちの家で妖怪大戦争やるらしいから避難してもいいかな?え?事情がわからない?俺だって分からないよ!!」
鋼くんの家への避難は断られてしまった。薄情なやつだなあ。
「あ、姉さん。今すぐソレ捨てて。そして俺に味見させようとしないで。そしてこの拘束を外して!今すぐに!」
「ダメよ。隼人、こうでもしないとすぐに逃げちゃうじゃない」
「あ、当たり前だよ!てか、離せ!HA☆NA☆SE!!」
☆☆☆
「んぁ?任務?」
姉さんが製作した魔の巣窟(台所)から命をかけた撤退劇を演じ終わり、俺は今自分の部屋にいた。四畳半くらいの広さの和室には、最低限のテーブルとタンスとクローゼット、そしてパソコンくらいしかない。今日、九十九家としての依頼が入っていたのは俺のパソコンにだった。
本来、九十九家への依頼は当主である姉さんのパソコンへ届くようにしてある。俺のほうに依頼が来る場合は、俺への指名、ということだ。
「ふむふむ……で、今回の標的は……?」
依頼として届いたメールを下へ下へスクロールしていくと、そこには驚きの内容が書かれていた。
「……ブランシュ、か」
なんと、ブランシュ日本支部の二つある拠点の内、一つを壊滅させろ、とそこには書かれていた。
「場所は東京郊外……ちょっと遠いけど、まあ、依頼人はお偉いさんみたいだしねえ。仕方ないか」
基本、依頼のメールは匿名だ。だが、ここまでブランシュのアジトの位置を掴
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