第十二章
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私を放り出して、柚木の肩に手をかけるご主人さま。『抱きしめて』って、柚木に囁いた。恥ずかしそうに胸元を抱きしめる、柚木。
…痛い。お腹が、鋭いスコップでごっそり削られて、空っぽになる感じ。
―――いや、そんなの嘘。私、まだあの扉の中にいるの……?
ねぇ、これはあなたが見せてる悪夢なんでしょ?
なんで、なんで破れないの、このディスプレイ!?
なんで、ここにいるのが私なの!?ご主人さまに『抱きしめて』って、囁かれるのが私じゃないの!?なんで私には体がないの!?ご主人さまを抱きしめられる腕がないの!?
やめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめて!!!!
柚木なんて、抱きしめないで!!!!
―――まっくらになった。ほら、まっくらになったよ。
なんだ、ほら、ぜーんぶ夢だったんだ。スリープ中に見た夢だったんだ!だってもう、まっくらだもん。まっくら、まっくら、まっくら、まっくら、まっくら、まっくら、まっくら、まっくら、まっくら、まっくら、まっくらだもん!!!
ん?…まっくらじゃない。紫色の扉だけ、まっくらじゃない。そうだ。ご主人さまの声がするよ?私のご主人さまはあっち。あっちにいるの。今のは全部夢。ご主人さまと私は、二人っきりでず――――――――――――――――――っと一緒なの。
ずっと、一緒だよね……。
私のご主人さまは、扉の向こうで、私だけに微笑んでくれてるの。だから紫の扉に、そっと手をかけた。……あれ、こっちも、まっくらだ。
暗い、真っ暗な部屋の中。ディスプレイの青い光だけが、やつれ果てたご主人さまの顔を照らす。
『やめろ…もう、やめてくれ……』
『うるせぇ、お前が強情張るから、ややこしいことになったんじゃねぇか!!』
オフライン…ローカルネットワーク接続…。接続されたパソコンから、甚大な量のウイルスが、ご主人さまのノーパソに流し込まれる。最初は一生懸命消化してたけど…もう、駄目。世界中のあらゆる強力な新種ウイルスに毎日、毎日冒され続ける日々。毎日、毎日…。応援を頼める皆はいない。…ここは、オフラインの監獄。痛い、苦しい、気持ち悪い、助けて…助けて…助けて…助けて…助けて…助けて…助けて…助けて…助けて…助けて…助けて…助けて…うわごとのように繰り返す。助けて…助けて…助けて…助けて…助けて…助けて…助けて…助けて…
『っち、狂わねぇなぁ…おい!どうなってんだ!』
『…セキュリティ自体が感染してしまえば、マスター以外が操れる可能性が出てくると思ったんですけどね…』
『他に方法がないんだ、冒して冒して冒しまくれ!!』
『
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