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最期の祈り(Fate/Zero)
ほどけぬ糸
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に濡れて体のラインがはっきりでる。
「無駄な色仕掛けは止めろ」
「む〜、君ってホモ?」
「断じて違う」
切嗣は一切の声音を変えず、淡々と返す。
「ふ〜ん?」
一方の盾無もからかうように、興味深そうに切嗣を見る。だが、
(……厄介ね)
内心では忸怩たる思いを噛み締めていた。盾無はロシアの国家代表だ。その権限を最大限活用し、切嗣の経歴を洗った。結果として、一応の情報は得られた。報告書には普通の、一般的な子供としての衛宮切嗣の生い立ちが綴られていた。しかし、どうにもおかしい……
「余りにも普通過ぎる」
この男の生い立ちは余りに平凡過ぎる。余りに平凡過ぎて、そもそもISと関わるのが余りに異常に過ぎた。恐らく日本政府が一枚噛んでいるのだろうと盾無は早々に結論を出した。しかし、日本政府が絡んでいる以上、幾らロシアの国家代表でも限界がある。余りに露骨に調べれば内政干渉で逆に痛い所をつかれかねない。そこで直接衛宮切嗣を調べる事にした。したはいいが、ある意味プロテクトが堅すぎた。最初、色仕掛けで揺さぶりをかけた後、何らかの情報を引き出す予定だったが切嗣は一切の動揺を見せなかった。勿論、作戦がそれだけという訳では無い。しかし、それを前提としたものが殆どであるというのも事実だ。
(分が……悪いかな)
相手を過小評価するつもりはなかったが、それ自体過小評価だった。少なくとも、情報を引き出すのは一筋縄ではいきそうにない。
「まぁ、いいや。今日はただの顔見せということで」
そしていつもの様に、扇をパッと出して一つ手を打つと、
「……おいおい」
屋上から飛び降りて、驚異的な身体能力で三階に体を着地させた。
「じゃ、またね〜切嗣くーん」
そういうと、逃げる様に廊下を走っていった。
.
.
.
.
一人取り残された切嗣は歯を噛み締めた。
「更識楯無か……厄介な時に目をつけられたな」
厄介な時、嫌が応でも切嗣がその力を示さざるを得ない時、即ち
――学年別トーナメント――
そして、徐にポケットから一枚の紙切れを取り出す。それが全てを物語っていた。

――――――――――――――――
20××年の学年別トーナメントの第一戦に限り、以下の日程で行事を実行する。
衛宮切嗣及び甲(甲は任意の学園所属の生徒とする)とのタッグと
.
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.
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ラウラ・ボーデヴィッヒ及びシャルル・デュノアのタックによる組み合わせで第一回戦を実行する。――――――――――――――――
ラウラ・ボーデヴィッヒandシャルル・デュノアvs衛宮切嗣の戦いがもうすぐ幕を開けようとしていた。
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