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不可能男との約束
覚めない思い
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、ここで気にしても意味がないのだが。

「あっちには私や熱田がいないから交渉が余り進んでいないだろうしな……まぁ、それも残り数日か」

「やはり、副会長と副長不在は色々と厳しいで御座るよなぁ……トーリ殿は当てにならんし、シロジロ殿とハイディ殿は……当てにしたら後が怖いで御座るし……」

「後はネシンバラくら……」

い、と言おうとしたところで紡ごうとした声を無理矢理に納めたミトツダイラ殿には聞いていない振りをする。
途中で言葉を止めた理由は解る。
恐らく、今、ネシンバラ殿は色々と大変な状況で御座ろう。何故かと言うと襲撃の時の指揮を執っていたのは書記であるネシンバラ殿。
つまり、今回の戦闘による武蔵の被害の原因とされているだろう。
無論、ネシンバラ殿が手を抜いてやったわけではなく、むしろ、どちらかと言うとよくやったと言ってもいいはずである。
それこそ、最後の想定外の被弾以外はなるだけ被害を抑え、軍師として次の可能性を持たせたまま終えているのである。
それでも───勝てていないという事実が恐らく武蔵の不満を作り上げて、彼の方に向かっているであろうというのは解り易い結論である。

「理解できる分、厄介ですわね……」

「ああやっていればいいのに……私だったらこうしていて、こんな事にはならなかったという思いを消すのは難しいだろう。ましてや、戦いに出ているのは自分たちの子であり、被害を受けているのは自分達の街だからな。他の国とは違って、そういった不満が溢れるのが武蔵は簡単に表現される」

「他の国のように艦隊で戦いに出向いているのではなく、武蔵は正しく国を率いて戦争をしているで御座るしな……民に対して隠せるかもしれない被害を武蔵は隠すことが出来んで御座る」

移動都市みたいなものの弊害というものである。
まぁ、愚痴を言っても仕方がない部分だし、それらはこれからも降りかかってくる部分なので否定しても始まりはしないで御座ろう。
それにしても

「……シュウ殿がこちらに来てるのはネシンバラ殿には良かったかも知れんで御座るかもしれん……」

「ですわね……」

「……? 何でだ? まぁ、交渉事には武力で示すしか使えないとは思うが、副長がいるだけマシというか、安心感が生まれると思うが?」

それに関しては、ミトツダイラ殿と曖昧な表情を浮かべて、逸らすことにした。
こういう時、自分はスカーフを巻いて表情を隠していて正解だと思った。
隣のミトツダイラ殿が若干、何か言いたげな怖い表情を浮かべていたが無視した。無視しなければ食われる。
大体、言っても恐らく正純殿にはまだ解らないだろう。いや、やっぱり解るかもしれない。
まぁ、簡単に言えば、文字通りトーリ殿の親友であるで御座るなぁと実感する。特に色んな意味でバカなのが
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