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不可能男との約束
覚めない思い
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「英国の守りの象徴の剣……王賜剣二型の一撃は、斬る対象を切り開くもの……」

剣神が操る剣とは、ある意味で真逆の属性。
切れ味だけで言うなら、格の割には恐らく悪いものである。逆に剣神の剣は切れ過ぎるのが玉に瑕なのだが。
だが、王賜剣二型の真価は斬ることではない。
むしろ、斬ることなど二次的な効果である。王賜剣二型は先も言ったように英国の守りの象徴。
斬ることではなく、守護する事が存在意義。
それ故に、王賜剣二型は己の国を侵略しようとする輩を一つたりとも許しはしない。一度振えば敵の存在、攻撃、防御を薙ぎ払うという理想を体現した妖精女王の剣。
それ故に、英国には近づかせないという理念の元に、剣から生まれた莫大量の衝撃波によって全て切り飛ばされた。
例外はない。
砲弾の残骸はおろか、武蔵すらも吹き飛ばす大気の津波が武蔵に一気に襲い掛かった。




「かー、こりゃ、やられたわな」

輸送艦にいる熱田はある意味感心した口調でつぶやく。
武蔵レベルの物でなくては、沈んでいなければおかしい攻撃をバンバン受けてきたのである。
極めつけに聖剣の一撃というのはロマンが効いていると思うが、問題はそこではない。
先の一撃に対して、"武蔵"さんはどうやら、旋回のために後方へと送っていた左舷艦群の高度を下げ、右受けからくる爆圧に、右舷艦群を前上側に出すことで横転をしないように堪える体勢を作って、衝撃に対しての体勢を整えていた。
横転を封じるという一点のみは正しく、成功したと言っていい。
問題は

「……」

自分達の輸送艦を率いている牽引帯の一本が、断裂している。
何故この一本だけ、断裂しているのやらと思ったが、よくよく考えれば立花・ァの一撃がそういえば一発だけ入っていたなと思いだした。
お蔭で輸送艦は牽引帯に引っ張られて、高尾表層部に激突しそうになる始末。
最早、方法は一つしかない。

「おい、馬鹿」

「あ!? 何だよ、親友!? 俺は、今、人生最長のごろごろローリング俺の記録を更新中なんだぜ!? 邪魔すると記録が途絶がっ!」

命も途絶えさせてやろうかと思わず思ってしまいそうになっちまうが、無視して首根っこを掴み、そのまま輸送艦の右舷側に放り投げ、そのまま縁を超える。
全員の視線が驚きに染まる。
まだ、浮遊して落下する時間がある数秒で、語ることだけ語っておこう。

「こっちにてめぇがいても何の役にも立てねえから、てめぇはそっちで腹括っとけ。まぁ、智が怒らないようにしとけ」

「───!」

この野郎という台詞を作ろうとしてその前に落ちていく馬鹿。
一瞬、物凄いすっきりした感覚が生まれてしまったが、そこら辺は、今は置いとこう。とりあえず、周りの驚いた顔をしている馬鹿達を何とかしてやらねば
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