覚めない思い
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ならば、勝利する条件は全部、こちらにあるということだという事か。まぁ、ある意味、ホライゾンらしい理屈である。
というか、この態度から察すると……結構、勝負毎に拘る様な姿勢を取るべきか、昔のことに興味を持っていると取るべきか、もしくは、トーリの事とかに興味があると言うべきか。悩むところである。
……まぁ、どれでも良い影響ではあるというべきかねぇ……
惜しいところといえば、もう少し感情に興味を持ってほしいが。
そこら辺は全部トーリの仕事なので何も言うつもりはないが。
まぁ、でも
「それでも、あれは俺の負けだ」
誰が何を言おうと、別に構わないが、俺の中ではあれは完璧に敗北と認め、誇っている。
人生初の大負けである。
あれを己の中で脚色したり、曲解したり、言い訳したりなどするのは許されないし、忘れない。
例え、この先に何があろうとも絶対に忘れない記憶の一つになる事だけは確定事項である。
それを目の前の女にどう説明したものかと考える。正直、自分の考えを他人に伝えるというのは苦手である。
そういうのは理解されなくてもいいし、必要ともしていないとも思っているので、そういうところも智に叱られる要因の一つになっているのかもしれない。
いや……そりゃねえな。だって、智はそんな事ではなく乳の事とかでしか射ってこないし。乳はデカいくせに器は小せぇ……。
今度から、もう少し落ち着けという言葉を彼女に贈ろう。
贈ったからといっても治るように思えないのが、智クオリティだが。
とりあえず、その時の事をホライゾンに言えば理解を獲れるかもしれないと思い、口を開く。
「まぁ、拳とはいえ俺も一応、戦闘訓練は物心つく前からしていたからな。専門家よりも弱かったかもしれないが、あの無能の馬鹿には超えられない壁みたいな強さではあったと思うぜ」
しかも、その時には加護も得ている。
敗北の要素は何一つなかったし、トーリの方にも勝利する要素は欠片もなかった。
それは、周りの誰もが思っていたことだろうし、俺も絶対にそうだと思っていた。
でも
「あいつ、立ち上がるんだよ」
何度叩きのめしても、何度膝をつけさせても
「痛くなかったわけでもないし、怖くなかったわけでもなかっただろうし」
瞳は俺への恐れで濡れていたし、膝は震えていた。
それでも
「あの馬鹿……正気じゃねえくらいの馬鹿だからな───今時、惚れた女の為に死に物狂いで戦ってくるような……そんな廃れた主人公みたいな事を本気でやってくんだぜ?」
ならよぉ
「そりゃ負けるしかねぇじゃねえか」
何度、絶望しても諦めない。そんな本当に馬鹿としか言えないような主人公を───光と仰いでしまった。
その閃光を。煌めきを…
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