覚めない思い
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正直、かなり危険としか言いようがないし、海は武蔵のドリフトのせいで荒れに荒れまくっている。
そういった部分は、自分の精霊術で収めたからいいのだが、危険なことには変わりはない。
とは言っても、流石に他国の者に、それらを突っかかるのもおかしいだろうと思うし、相手も必至であるというのは理解できているので、わざわざ口に出して言うことではないのだが
「……ミルトン。さっきから、何か妙な音がしないか?」
「妙な音……ですかな?」
ミルトンと呼ばれた相手は烏であった。
それも、三本足であり、紺色の学生服を着た烏である。
その烏は"傷有り"からの疑問に、耳を今まで以上に澄ますが、鳥類として風には詳しい自分でも違和を感じるような音は、それこそ武蔵周辺くらいしか聞こえない。
だが、そこで更に念の為に他に何か音が聞こえないか、集中して耳を澄ますが、やはり何も聞こえない。
「風に詳しい私めにも、おかしな音は聞こえませんな。言い方はよろしくありませんが"傷有り"様の心配性の為に、多少、聞き違えをしているのでは?」
「Jug.ミルトンにも聞こえないとなると、そうかもしれんな」
そこまで答えて、最後にそういえば、という言葉を付け足す。
「子供達がお前に対してしたい事があるらしいぞ?」
「ふむ? それはこの男ミルトンに今までの感謝を込めてという素晴らしい感動イベントでありますかな? 成程……ならば、逆にその感謝を受け入れないというのは失礼でありますな!」
ああ、と"傷有り"は相槌を入れ
「ミルトンは他のカラスと何か違うから、味も違うかなーーという事らしい───どうしたミルトン? いきなり忙しなく羽の調子など見て。長距離飛行の予定でもあるのか?」
突然のミルトンの奇態を不思議に思い、そして笑っていると、ふと、空に武蔵以外のものが映った。
それは何だろうかという疑問に答える前に、頭が答えを出す。
砲撃だ。
武蔵の向こう側から、白の直線軌道を軌跡にしながら武蔵に向かっている。
「馬鹿な……!」
余りにもおかしな事態に体の動きが停止してしまい、疑問に体が支配される。
「"傷有り"様!」
そこをミルトンが大声を上げて、こちらを気付かせてくれたので、はっ、としながら内心でミルトンに礼を言う。
「対艦用の低速弾だと……!? 大型艦でなければ速度を確保できないような物だぞ!?」
なのに、それを撃ち出した艦隊の姿は肉眼に移っていない。
となると答えは
「ステルス航行できる敵艦が、英国近海まで来ていたということなのか!?」
ぞっとする。
自分の力を過信するわけではないが、世界の異常に気付く事については、結構、敏感なほうだと思っていたが、そんな自分も気付かないステルス艦がこんな近
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