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王道を走れば:幻想にて
第四章、その7の1:いろんな準備
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?僕、外でエルフの皆と一緒に遊んでいても、特に何も無いし」
「今のところはな。だがなぁ、リコ。冬を迎えれば状況は異なる。今、収穫に力を注げないというのであれば、必然的に収穫量も減少する。となれば、後は狩猟に賭けるしかなくなる。ところがその狩猟とて、人員が別の仕事に取られて思うようにいくとは限らんし、寧ろ今年は失敗するかもしれん。十中八九、今年の冬は食糧不足の問題を抱えるだろう」
「と、なると・・・食糧を巡った争いがあるかもしれませんわね」
「おそらくな。その時どのような事態が勃発するのか・・・。いざとなったら子供達だけでも守ってやらないとな・・・。たとえエルフの子供であろうとも」
「そうですね。調停官に要求されるのは、派遣された地域における平穏の確保。それに適うような行為であれば、基本的に黙認されます。過去の事例でも、調停官自身が難事が勃発した際に敵対関係にある部族の子供を助けた例がありますし、その時は無罪放免でした。私達がそれをするとしても、宮廷は口出ししてこないでしょう」

 過去の列記とした事実を述べるキーラの言葉は疑いようが無く、一同は皆頷いたり視線を交わしたりしてそれを確かめる。キーラは一杯茶を口に含むと、嚥下して喉を潤した後に、最も気になっていた事を切り出した。

「さて・・・残るは最後の問題です。イル=フードと一緒に話していたのは、誰なのか?」
「話を聞く限り、そいつらは二人組で、うち一人がドワーフなのは確実だな」
「それで、名前がチェスターとアダン、でしたっけ」

 キーラは首肯し、記憶の箪笥を引き出してみる。彼女にとって聞き覚えの無い名前であるため、二人組であるという事のみが探索の頼りであった。が、直ぐに該当する項目が見付かる筈も無く、その間にも仲間らは会話を続ける。

「ついでに言えば、そいつらはお金をじゃんじゃん持っていると。んで、イル=フードに資金援助をして、魔獣狩りをさせているって訳ですよね?」
「ああ。目的のために手段を選ばない者達でもある」
「だから平然と、巫女を利用しようなどと言えるのですね。正直、エルフの長に対して礼を逸し過ぎだと思います。敬意というのが欠片も感じられません」
「姉さん。ケイタクさんが前に言ってたけど、『所属する組織や世界が違えば、他の組織や世界に対して遠慮や節度が無くなる』だってさ。だからそもそも彼らには遠慮が無いんじゃないかな?」
「・・・皆がそうであるとは信じ難いけど、その二人には当て嵌まる解釈ね」
「・・・ケイタクめ。偏見のある意見を言いおって」

 苦言をぽつりと呈すも、ユミルは慧卓の言葉に思い当たる節があるのか、顎に指を遣りながら言う。 
「しかし遠慮が無い、か。パウリナが聞いた話と当て嵌まるかもしれん。確認だが、パウリナ。奴らは本当に、『長居をする心算
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