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王道を走れば:幻想にて
第四章、その7の1:いろんな準備
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に僥倖だ。だが、あくまでも半月分だぞ。次はどこを襲うのだ」
「そうそう。あんたらの事情には同情するけどよ、飯はどうすんだ?それが俺等の最重要課題だ」

 事実、その通りであった。元々周辺の盗賊団を結集して物資をやり取りしていた所に、流浪の民同然のエルフらが流れてきたのである。人の数に対してエルフの数は四分の一であったが、それでも食い扶持が一気に増えるのには変わりなく、諸人が頭を悩ます問題になっていたのだ。
 盗賊団を率いてきた人間達はそう言うと エルフらは互いに視線を交わす。喜びを口にする前に、先ずは現実を語る方がよさそうであった。

「旅人を襲うのは余りに不安定過ぎる。矢張り村を襲った方が・・・」
「ならば東だ。其方に手を伸ばした方がよい」
「違いない。だが気をつけろよ。手を伸ばしすぎれば手首より先を失う羽目となる。特に、ソ=ギィの村には絶対に手を出すな」
「ふん。雌猫如きに何を恐れる。多数で襲えばそれでいいだろうが」

 人間の男は溜息混じりにエルフらの会話を遮った。彼が聞きたいのは内輪話ではないのだ。

「はいはい分かりました。で、何が言いたいわけ、エルフさん」
「我等が狙う先は西でも無ければ南でも無い。東だ。東の村々は今丁度収穫期を迎えている。襲うなら今が絶好の時期だ」
「・・・東ね。ま、それは理解できるぜ。ニ=ベリって奴の兵は精強なんだろ?だったら態々会う必要も無いし、南はもっとやばい。クウィス男爵があんなにやる気を出すとは思ってもみなかったしな」
「ほう、そうなのか?」

 質問には答えず、盗賊の男は頸を横に振った。それが何よりの彼の答えであると悟ると、エルフの男は思い出したように言う。

「そういえば東の村なのだがな、中々に美人揃いの村で有名だ。特に女がな」
「へぇ?いい事聞いたな」
「特に、ソ=ギィ直属の私兵団の連中は中々に容貌がよいぞ。御せればの話だが、身体の方も中々によいであろうな」
「マジかよ。今から滾ってくるな」

 色めきたつ人間達。未だ抱いた事の無いエルフの女体というものに大いなる期待を寄せているようだ。それを見てエルフの一人が鋭く言おうとする。

「馬鹿がっ。女如きに何をたじろぐ!一時の享楽に身を耽るの愚はーーー」
「まぁ待て。俺等は平等だ。誰かに命令される立場じゃないんだし、諭される理由も無いんだ。暫く放っておいてくれないか?」
「なんだとっ・・・我々の腹は女では満たされんのだぞっ!分かっているのか?」
「はいはい、分かっています。女襲うついでに食糧庫を襲撃すりゃいいんだろ。一々でしゃばるなよ、爺。殺すぞ」

 馬鹿にするかのように言われた壮年のエルフは顔を歪ませるが、此処で乱闘沙汰になってしまえば陣内に居る仲間らの扱いは惨いものとなると知っているため、下手に怒り
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