アインクラッド 前編
希望を繋いだ勝利
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彼はキリトに一言言った後にその巨躯を反転させ、ようやく澄んできた視界の中でにやりと笑い、言った。
「あんたらも、防御は俺たちに任せな。壁には壁なりの意地ってもんがあるんでね」
エギルの後ろで、B隊の面々が口々に同意の声を上げる。
「……そいつはありがたい」
マサキは言いながら、他の三人に目を向ける。三人が視線で「大丈夫」と伝えてくるのを確認すると、ノックバックから立ち直り、どこか苛立ったような雄叫びを上げるイルファングに、三度向き直った。
それから数分間、再び綱渡りの状況が始まった。防御を壁役の六人に任せ、マサキたち三人はひたすら攻撃に専念する。真正面と背後にだけは回らず、ボスの硬直を確認すると同時にソードスキルを叩き込む。キリトはエギルたちに次来る攻撃の種類を教え、六人はその通りに盾をかざし、防御に徹する。危うい戦法ながら、ボスのHPは少しずつ、しかし確かに減少を続けた。
しかし、ボスのHPが三割を切った頃、またしてもハプニングがマサキたちを襲った。気の緩みからか、壁役の一人が足をもつれさせ、ボスの背後に向かってよろめいたのだ。近くにいたトウマが咄嗟に手を伸ばして体を引き寄せたが、その時には既にボスが囲まれ状態を認識、天高く舞い上がった。
「クソッ……!」
マサキは毒づきながらも、この状況に対する唯一と言っていい対処法を、咄嗟に思い描いた。それは、トウマが両手剣を使い始める前に、一度だけ使ったことがあるソードスキル。
(あの技なら、確か空中の相手でも攻撃可能だったはず……!)
マサキは、今その対処法が実行可能な唯一の人物に視線を投げた。するとその人物は、未だ全回復に至っていない自らのHPゲージも忘れ、既に飛び出している。
マサキは全速力で走る彼の正面に立ち、両手を体の前で組み、腰を落として構えた。
「キリト、来い!」
キリトはマサキを見つけ、一瞬目を見開いたが、すぐに表情を引き締め、マサキに突進する。マサキは迫り来るキリトの右足が自分の両手の上に乗った瞬間、ステータスの許すありったけの力で、彼を上空へと放り投げた。ソードスキルのシステムアシストもあって砲弾のように射出されたキリトは、一ミリの狂いもなくボスに向かう。マサキの脳が、キリトのスピードからボスとの交錯点を正確に割り出し、彼の質量から手を跳ね上げる強さを調整、理想的な軌道でキリトを射出した結果だった。
「届……けェーーッ!!」
キリトの叫びの後にボスの体を切り裂いた切断音、さらに続いてイルファングのうめきが部屋全体にこだました。数秒後、姿勢を大きく崩したイルファングが背中から床に落下。盛大に手足をばたつかせ、自らが《転倒》状態にあることを見る者に伝える。一足遅れて着地したキ
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