第十一話
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に召さないならこの場で、
えいやぁとそっ首刎ねて、このご無礼詫びさせます。
そっ首刎ねるはまぁ、言葉のあやですのでお気に召さらず 」
ベウレク卿の物言いに俺はまたくすっと笑ってしまった。
「お二人ともドリアス伯爵の領地での暮らしが長かったのか御存じないのかもしれませんが、
わたしの側近く仕えた者がことごとく不運な目に遭ったことは知っています? 」
「例えば、最初のわたしの守役は流行り病で亡くなってしまわれ、そのあとを継いだ方は落馬の事故が元で亡くなりました。
さらにその次の方は何者かに命、奪われました。
成り手が居ないのか、父上がこの一連の不幸の験でもかつがれて任じなかったのかはわかりませんが、
ここまで話してお気持ちが変わったならいつでも取り消してくださいね 」
一息にここまで言うでなく、それぞれの言葉を区切ってゆっくり俺がそう言うと。
「殿下のせいで不幸が起きるなら、その後一番近くにおられた陛下やキュアン王子にもご不幸あったことでしょう。ですが何もなかったではありませんか!ただの偶然をお気になさらずに! 」
レンナートさんは、にいっと笑って俺にそう言ってくれた。俺は少し目がうるっとしてきた。
「わたしには領地はもちろん、きちんと定まったお役目も無いので俸給すらありませんよ。出世払いで良ければレンナートさんのお好きにしてくださいね 」
実際のところそう言うより他は無い俺の言葉のあと、
「それがしも厄介払いが出来てせいせい……おっと、こやつでも殿下の矢除けくらいは務まりましょうが、殿下はお人が好ろしいので甘やかさないように。つけあがりますのでな 」
ベウレク卿はこちらも、にいっと笑って口を挟んだ。
「殿は相変わらず酷いじゃないですかい 」
レンナートさんがぶすっとしてからそう言うと俺は思わず笑いがこぼれる。
「それ、そこよ!いまのオレはもうお前の主君ではないのだぞ。あるじの区別くらいつけんかい、だから矢除けくらいしか務まらんと言ったのだ! 」
今までと違い逆に真面目くさった表情のベウレク卿の声と表情に、レンナートさんが両手を上で組んでちぇ〜とか言うので、俺がおもわず笑いだすと連られて二人も笑いだし、しばらくの間俺達は笑い続けた。
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