第十一話
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もお気にされてたようだ。
「いつもそういうスケジュールですし、悪いのは疫病です! 」
と、元気よく俺は応えた。
「そうか 」
笑顔で父上はそう言うと俺の頭を撫でてから肩をぽんぽんと叩いてくれた。
そのあと、セルフィナさんと顔を合わせた時、彼女のほうは気遣わしげであったけれど俺がなるべくいつも通りに接していると、彼女の方もそれに合わせてくれたのかいつも通りに応じてくれた。
それから幾日か過ぎたある日、王宮を移動中の俺はいつぞやのドリアス伯爵配下の従騎士と出会った。今日は連れている従卒は一人だけで、若い方であった。
従騎士はたしかベウレクと言い、従卒のほうはレンナートと言ったか。
俺はグランベル風の敬礼を行ってから声をかけた。
「先日は大変お世話になりました 」
「いやいや、とんでもない。こちらこそ殿下のおかげを持ちましてこうして首が繋がっております 」
ベウレクが冗談めかして言う姿にくすっと笑いが出る。
「ところで、このような者が殿下と言葉を交わすなど不敬の極みかと存ぜますが、殿下の寛大な御心に期待するそれがしの浅慮、許されますならば我が従僕、レンナートからの言上、聞き届けてくださいませぬでしょうか? 」
古めかしい言い回しは好きなんだけれどちょっと回りくどさに辟易したのと、普段は率直な物言いの彼に、ひとつ思うところがあったので、こちらから尋ねてみた。
「それはもちろん喜んで。ところでこの場所で聞かせてもらうのに重要な意味があるなら別ですけれど、もしそうでは無ければ場所を変えましょうか?ベウレク卿は人目をはばかっているようにも感じますので」
「はっ!恐れ入ります」
彼は言い、俺たちは中庭の外れのほうへと足を向けた。
「ベウレク卿もレンナートさんも、わたしよりずっと年上で人生の先輩とも申せます。他の人の目があってお気になさるときは致し方ありませんが、そうではないときはもっとくだけてお話いただけると、わたしのほうも話しやすくなります 」
道すがら俺はそう言った。この前のグレイドの見舞の時に比べて2人とも固いものだから。
そんな俺の物言いに2人ともかえって恐縮してしまった。俺の空気読め無さは異常。でも平常運転。
「では、先ほどの続きをレンナートさん。お願いしますね 」
俺がそう言うとレンナートさんは畏まって片膝をついてこう述べ始めた。
「もし、殿下のお許しあるならばこのレンナート、殿下にお仕えしたく 」
思いがけないその言葉に俺は驚いてベウレク卿のほうを見やるとベウレク卿は頷いて、
「我があるじから陛下の方へこの事についてお許しはいただいてます。
あとは殿下がこやつめをどうされるかということ。もし、こやつがお気
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