第十一話
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こういう時は絶対逃げない、つらくてもいつも通りに近づけるよう頑張る、サボらない。
子供だけど子供じゃ無い訳だからな。そう自分に言い聞かせる。
……そうだ、サボらないと言えばということで思いだし、観葉では無く、薬用目的で育てている植木鉢に目をやった。
本当はキダチアロエが一番欲しいのだが手に入らないというか手に入れようが無かった。
現実だと南アフリカやマダガスカルが原産なのでイザークとかイード砂漠周辺にあることを期待しよう。
兄上と野山を巡った時にドクダミを見つけた時は心の中でファンファーレが鳴りましたよ。
これは最強、なんと言っても俺でも簡単に見分けることが出来る上に薬効が高い。
ひっこ抜いたあとの臭いは最悪だが慣れてしまっているので大丈夫。
注意点は路地に植えてはいけないってこと、理由は強すぎて他の植物を駆逐してしまうのと、いざ根絶しようとすると非常に難しいからだ。
やつらの本体?は広く深く巡らされた地下茎ネットワークで、例えば地上に顔を出している茎や葉を全部取り除き、さらに充分注意してあらかた根を引っこ抜いたとしても3〜4週間もすれば元通りになる。
油で揚げれば食用としても俺ならいけるし、というか摘んでから水洗いしてそのまま生で喰えるくらいの訓練はしてある。ただし、そのあとは水が欲しいところだが。
あとはヨモギとツユクサが欲しいところだが見かけたことが無かった。
有用な薬草としてはオオバコなんかもいいが、これはわざわざ探さなくても大抵のところで見かけたので収集はしていない。
見かけたとしても判別出来ないが、ゲンノショウコなんかは欲しいなぁ。
俺は喰らうのも治してもらうのも魔法の効果が薄いので、こうやって自分でわかる程度の薬草を集める癖がついてしまっていたのだ。
育てているのは他にシソとミントくらいなもので、鉢植えに明日は水をやろうと思った。
植物に手をかけていると、先ほどまでの自己嫌悪や悲しさだとかが少し和らいでくる。
ミントやシソの葉をちぎって揉んで、香りを楽しむと穏やかな気持ちになってきたので寝台に潜り込んだ。
翌日、いつも通りに起きて水汲みに行き、戻ってきてから忘れずに鉢植えに水をやった。
朝食の席ではなるべく元気で笑顔の挨拶をして、お互い昨日のことは触れずに居た。
父上だって言いすぎたとか思っても言いだしにくいだろうしな。
いつものスケジュールだと、父上は今日の昼はグランベルの公使との昼食になるだろうなと思っているとそのことを告げられた。
「昨日のことがあったから昼を一緒にしたくないという訳では決してないぞ。」
だなんて少し困ったような、言いにくそうな表情で言ってくれた。
お互いわかっているのにわざわざ伝えてくれる辺り父上
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