第四幕その一
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第四幕その一
第四幕 処刑
戦いは終わった。結果は援軍を得ており数に勝る伯爵側の勝利であった。マンリーコ達は無謀な夜襲が失敗しそれにより敗北した。城は伯爵の占領するところとなりマンリーコは捕らえられた。だが一部の兵士とレオノーラは城を脱出し何処かへと落ち延びた。それを知った伯爵の怒りと落胆は目を覆わんばかりであった。
「すぐに探し出せ」
彼は即座に指示を出した。だがレオノーラもその一部の兵士達も行方はようとして知れなかった。マンリーコはその間にアズチェーナと共にアリアフェリアの宮殿に護送されその牢獄に入れられた。そしてあとは処刑を待つばかりであった。宮殿の警護は伯爵が受け持つことになっていた。
マンリーコとアズチェーナの処刑が迫っていたある夜のことである。宮殿の翼壁に幾つかの影が蠢いていた。皆暗いマントを頭から羽織っている。そしてマントについているフードで顔を隠していた。
「こちらです」
その先頭を行く一人が隣にいる者に声をかけた。それは男の声であった。
「はい」
それに応えるのは若い女の声であった。レオノーラの声であった。
「本当に宜しいのですね」
その男ルイスはフードを外してレオノーラに問うた。
「覚悟はできています」
レオノーラもフードを外した。そして意を決したような声でそれに応えた。
「だからこそここに来たのです」
「そうですか」
ルイスはその顔を見て頷いた。見ればその気品のある整った顔がけついで強く固められていた。
「わかりました。それでは私達が出来るのはここまでです」
「はい」
そして彼はすぐ上の塔を指差した。
「あの塔が見えますね」
「はい」
「あの塔は監獄になっております。そして我等が同志マンリーコもあの中にいます」
「塔の中に」
「そうです。そして処刑の日はもう間近となっております」
「間近に」
「ええ。おそらく明日にでも執行されるでしょう。そうなれば・・・・・・おわかりですね」
「はい」
青い顔で頷いた。だがその表情は変わらなかった。気丈な顔であった。
「ですからここに来たのです」
「そうなのですか」
「ですから・・・・・・あとは私一人で」
「よいのですね、本当に」
「はい」
レオノーラはコクリ、と頷いた。
「心配はいりませんから」
「わかりました」
「それでは」
ルイス達は彼女に挨拶をしてその場から姿を消した。そして後にはレオノーラだけとなった。ここで急に雨が降りだした。それが彼女の肩や髪をしとしとと濡らした。
「これからだわ」
レオノーラは塔を見上げてそう呟いた。
「この雨が私を阻むものになろうとも私は行かなくてはならない」
言葉に込められた決意は揺らいではいなかった。
「
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