SAO編−白百合の刃−
SAO33-雪は解けて雫となる
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あるので引き受けることにした。
と言っても、試作用のSAOを単独でプレイして一・二時間ぐらいを好きなようにやるだけで終わった。どうやら、第三者から仮想空間のバグとか不自然なところがないかの確認だったらしい。そんな数時間で確認できたのかを訊ねられると、『楽しかった?』と訊ねてきた。
私は『新鮮でした』と返すと、結弦さんは嬉しそうに笑っていた。
結弦さんの頼みごとが終わったと思いきや、今度は二か月限定のベーターデストをプレイすることを勧められた。これも身近な第三者が体験して感想を聞きたかったそうだ。私は結弦さんの役に立ちたいと触れることがなかったオンラインゲームの知識を得て、ベータテストの参加者として私は剣を振った。ベータテスト中はタカネと名乗り、“キリト”というプレイヤーと組んで誰も到達していない十層まで行けることができた。組んだと言っても、会話なんてほとんどないに等しくて最低限の会話しかしない、目的だけの仲間、それは一般的にいう仲間とは程遠い関係だった。
ベータテストを終えてから何ヶ月後に、今度は発売されたSAOをプレゼントされた。
『結弦さん……これは……』
『今めちゃくちゃプレミアム物だけど、雪音には手伝ってくれたかたお礼としてあげる』
『でも、私は……』
『あ、それ売ると多分、高価になるかもしれないわね。わたしのプレゼントだから好きに使っていいわよ』
結弦さんは――――萱場晶彦に加わったSAOの開発に関わっていた一人であった。
だから、私に試作をやらせることも、私をベータテストに当選させることも、入手困難のSAOを手に入れることなんてたやすかった。
結弦さんが開発に協力して作ったものを、私は捨てることはできなかった。
私は結弦さんが加わったものを台無しにさせないために、SAOの世界へフルダイブした。しかし、そこに待ち受けていたのは、萱場晶彦によるデスゲーム化。結弦さんが加わった萱場晶彦によってゲームの世界へ閉じ込まれてしまった。
ゲームだったはずが、現実に変わってしまった。そのせいか、今まで平気だった景色が突如、黒く見えてしまった。
この世界で死んでしまえば、私は現実世界も死んでしまう。その恐怖に私は我慢しながら、剣を振い、一刻も早く恐怖から逃れたいために現実に帰れる方法、百層のボスを倒すこと以外の隠しボスを探していた。
瞳を開けば、結弦さんと暮らしている家ではない。ふと私は、施設にいた時と同じ――――独りになっていた。そのことにも恐怖をしていて、独りで怯えて、泣くことが多かった。
でも、それは一時的なことだった。この世界で私は優しさに満ち溢れたキリカに出会い、穂のかで温かい手に触れて私は救われた。
ようやく。
私の中にある恐怖は――――優しさに包まれた。
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