暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
SAO編
episode1 一極化型の憂鬱
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 (まいったなあ…)

 内心で俺はため息をついた。VRMMO…いや、今やデスゲームと化したゲーム、《ソードアート・オンライン》。全百層の巨大な空飛ぶ鉄の城、《アインクラッド》からなる、とんでもなく広い世界。

 その巨大な世界の中、俺が今いるのは第十八層のダンジョン、『ゴブリンの塔』。
 上層へと繋がっている迷宮区とは異なる、フィールド上のダンジョンの一つである。今の最前線からはたったの三層しか変わらない上に敵の経験値が同レベル帯ではかなり高く、加えて敵のポップも多いダンジョン。要するに場所によってはパターンさえ見抜けば短時間に大量の敵を狩ることができる、いわゆる『レベル上げスポット』だ。

 だがしかし、昼間を過ぎたくらいの時間にも関わらず、周囲に俺以外の人影は見えない。他の『レベル上げスポット』なら待ちの列が出来ていても不思議はないのだが、このダンジョンではこの過疎ぶりもいつものことだ。その理由も、広く知れ渡っている。一言で言い表そうと思えば、このダンジョンの通称を言えばいい。

 (こいつは、思ったよりも大変だ…)

 「忍者屋敷」。

 何の変哲もない通路から飛び出す針の罠。階下へとプレイヤーを叩き落とす落とし穴。そもそもが複雑な三次元的構成な上に、罠、罠、罠のオンパレードだ。そして出てくる敵であるゴブリン達も、数値的なステータスは低いものの、個体によって投げナイフや斧、槍などで対策が異なってくる。

 結果、『レベル上げスポット』である四階の大広間まで達すること自体が大変なために、攻略組は敬遠し、やってくるのはせいぜいレアドロップの投げナイフを狙った、奇特な《投擲》持ちのプレイヤーくらいのものか。

 と。

 (うおっとっ!ここもかっ!?)

 安全地帯と思って隠れていた曲がり角の壁に、ゴブリンシューターの放った投げナイフが肩に突き刺さる。俺が今装備している革の上着は今現在のプレイヤーメイドのそれなりの品だが、いかんせん革製装備だ。しかも、鎧ですら無い。貧弱なナイフ一発くらっただけで5%くらい削られてしまうだろう。が、慌てることはない。ソロプレイの基本として、各種結晶も回復ポーションも十分な量を用意してある。

 「よっ、と!」

 一言気合を入れて、勢いよく床を蹴ってナイフの飛んできた方へと走り出す。鍛えた『索敵(サーチング)』のスキルのおかげで、敵が三体居ることが分かる。相手のゴブリン達がこちらがターゲットしたのに気付き、慌てて逃げようと身を翻し、

 「はぁっ!!!」

 た、ときには既に、俺は走り込んで単発体術スキル、《スライス》を放っていた。早々に一体を仕留め、そのまま流れるように強攻撃で一体を怯ませる。慌てて切りかかる剣士型モンスター、『ゴブリンファイター』の鎧の隙間を《エン
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