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トロヴァトーレ
第二幕その六
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「この日が来るのを信じておりました」
「私もです」
 こうしてレオノーラはマンリーコの手の中に入ったのであった。それを見る伯爵の目は憎悪で燃え上がっていた。
「マンリーコ」
 彼は敵の名を呼んだ。
「このことは決して忘れはせぬぞ。必ずや貴様を地獄の業火で焼き尽くしてくれる」
「できるものならな」
 マンリーコはそれに言い返した。
「だがそれは今ではない。戦場でだ」
「そう、戦場でだ」
 伯爵はマンリーコの言葉を繰り返した。
「戦場で貴様を必ず倒す。覚えておれ」
「忘れるものか。それはこちらの言葉だからな」
「面白い。ではまた会おうぞ。今度会う時は」
「貴様が死ぬ時だ」
 そう言って両者は互いに別れた。マンリーコはレオノーラと共にその場を去った。イネスやルイスもそれに同行する。兵士達が彼等を守っていた。
 伯爵とフェルランド、そしてその兵士達はそこで彼等を見るしかなかった。彼等は白銀の月の下憎悪の炎でその身を焦がしていた。

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