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シャンヴリルの黒猫
15話「安価な珍味達 (2)」
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方支援の方がよくないか?」

「でも、それじゃアッシュが…」

「俺の心配はいいの。杖術は俺はよく知らないけど、近接戦闘に慣れたいなら俺が練習台になるから」

「うー……」

 言おうと思ったことを先回りされ、思わず唸るユーゼリア。

「これは護衛としてのお願いでもある。俺が護衛をするからには、ユリィには毛一筋でも傷を受けて欲しくないからな」

「……」

 思わず顔が赤くなるのを、ユーゼリアは抑えられそうになかった。

 咄嗟にうつむき、深呼吸を数回。怪訝そうに首を傾けるアシュレイへ向き直ると、自分のバッグから取り出した刃渡り30cm程のナイフを押し付けた。

「素材剥ぎ取り用のナイフ。私の予備だけど、渡しておくわ。これで毛皮とか牙とか剥いできて頂戴」

「なんか言ってることが怖いな」

 ぶつぶつ言いながら自分が倒したウルフの死体へと歩いていくアシュレイを、なんとなく目で追って、ユーゼリアははたと気づいた。

 彼が向かっているウルフたちが、皆一撃で屠られている。数匹は打撃系でやられたようだが、基本アシュレイはグレイウルフの首を切り落としている。

 6年間で血生臭い戦いに慣れているはずのユーゼリアでも、そうそうお目にかかれない光景だ。よほど剣の質がいいのか、アシュレイが並々ならぬ腕前なのか、それとも、その両方か。

(……考えるまでも無いわね)

 その両方だ。

 10匹には満たなかったとは言え、8匹のグレイウルフを帰り血も浴びず、自身も少しの怪我もなく、首を落とす。クラスDを超えるそれを軽く行い、なおかつ息をかけらも乱さないアシュレイは、一体どれほどの強さなのだろう。

 そういえば、このグレイウルフ達の気配に気づいたのも、アシュレイが先だった。

 自身もウルフの牙をナイフで少しずつ切りながら、ふとため息をつく。

 “アシュレイ=ナヴュラ”という人物が、いったいどういう男なのかが、わからなかった。
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