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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第二章
八話 合宿へ──変えたい“今”──
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えば、始めは駄目元だったのだ。これまで全く関わりを持てなかった兄と、今になってそう簡単に関わり合いを取り戻せるとは思えなかったし、どちらかと言えば話しかける事その物に意味が有る、程度の考えでしかなかった。しかし結果は……

──練習……するぞ──

「……っ」
「多分来れないと思う」。つい十数秒前に自分が言った言葉だ。しかし……今ならば、“多分”を覆すことも、出来るのではないだろうか。兄が……クラナが少しずつ今までとは変わり始めている。今ならば……また、何かが変わるのではないだろうか?

「…………」
「よーし!じゃあ、楽しい試験休みを笑顔で迎える為に!」
考え込んだ表情のヴィヴィオのすぐ横で、リオが声を上げた。その声にハッとしたように、ヴィヴィオも顔を上げる。
コロナが、後を引き継ぐように言った。

「目指せ!百点満点!!」
「「おぉーー!!」」

幾つかの問題はさておいて、小学生の少女達は、元気いっぱいのようだった。

────

「ふぅ……」
さて、それから一時間と少し。所変わって、Stヒルデ魔法学院、高等科の校舎三階に有る自分の教室で、クラナは一人、小さな溜息をついた。今は歴史の試験が終わり、休み時間だ。次の教科の教科書やノートを一心不乱に読む者。友人と問題の出し合いをする者。終わったテストの話をする者、勉強する必要が無いのか……あるいは諦めたのか、唯ぼぅっとするだけの物。
そんな中でクラナは最後……ぼぅっとする者に入っていた。どちらの理由であるかは……ご想像にお任せしよう。

「よっ」
「ん……ライノ」
「なんだ〜?優等生さんは今日も余裕かい?」
二ヤッと笑って人の座って無い前方の席の背もたれを抱え込むように座るライノに、クラナは苦笑して返す。

「別に余裕じゃないよ。ちゃんと頭の中では思いだしながら復習してるって」
「よく言うねぇ」
ちなみにライノはクラスの中では中の中程度の学力位置に居る。……とはいっても取ろうと思えば絶対にもっと上の順位になるだろうとクラナは踏んでいるのだが。

「ライノは?復習しなくて良いの?」
「はっ!俺は悪あがきはしない主義なんだよ!」
「はいはい」
無駄に胸を張って言うライノを、クラナは何時も通り軽く受け流す。
案外と何時も通りの日常。のんびりとしたそれに、クラナはのんびりと伸びをした。と……

「そう言えばさぁ……」
「ん?」
ふとした様子で言いだしたライノにクラナは伸ばした腕を戻す。

「ノーヴェさんから、昨日通信で誘われたんだけど」
「え?何を?」
「何をってお前……」
とぼけた答えをかえすクラナに、ライノは文章通信の履歴を開き、一つの長文メールを表示させた。クラナの方に向けられてそれを覗き込んだクラナは……

「な……
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