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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第二章
八話 合宿へ──変えたい“今”──
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「そう言えば……クラナは、今回は……」
「あ、えっと……やっぱり、そっちは駄目かも……」
言われたなのはは、今度は少し落ち込んだ表情になる。俯くと、顔に影が差した。
「クラナ、その話になると、凄く嫌そうな顔するって言うか……話、しようとしなくなっちゃって……」
「そっか……やっぱり、まだ……」
「うん……そうだと思う」
察したように言ったフェイトに、なのははコクリと頷いた。フェイトが再び、悲しげな表情を作る。
「メガーヌさんは、何て?」
「仕方ないって……ルーちゃんは、謝りたいって……でも、やっぱりこのままじゃ……」
「そう、かな……?」
なのはの懸念を察してか、フェイトが声を上げた。その、探るような声に、なのはが少しだけ首を捻ってフェイトを見る。
「フェイトちゃん……?」
「なのは、クラナが変わってきたって、さっき言ったよね?」
「う、うん……」
素地をこねる手を止め、フェイトとなのはは向き合う。フェイトは何時もより幾分か強い視線で、なのはに言った。
「なら、今変えてみるべきなんじゃないかな?」
「…………」
「クラナが変わってきた……それを、ルーちゃんとの事でまた元に戻しちゃうのが、なのはは怖いんじゃないかな?」
「それは……」
言い淀み、少しだけなのはが俯く。少々きついことを言った事に、フェイトは内心で罪悪感を覚えたが、それを顔に出すような事はあえてしない。やがてなのはは、観念したように言った。
「怖い、かな……やっと、クラナと少しでも距離が近く慣れた気がしたの……だから……」
「なのはがそう思うのは、きっと当たり前だと思うよ。だけど……」
ほんの少しだけ考えるようなしぐさをして、フェイトは言った。
「逆に考えてみるのも……良いんじゃないかな」
「逆に……」
「うん……クラナの方から変わろうとしてる今が……私達の接し方も変える、チャンスなんじゃないかなって、思うんだ」
「あ……」
フェイトは元々、じっくり、ゆっくりとクラナとの距離を詰めて行き、やがて来るであろう機会を窺おうとしていたのは、以前説明したとおりである。
いうなれば、フェイトが待っていたのはこう言った機会なのである。クラナの側から、自分やなのはへと少しずつでも歩み寄って来てくれる。そんな機会がいつか必ず来ると、フェイトはある意味愚直とも言えるほどに信じ、待っていたのだ。
であるならば、今ここにあるチャンスを、少しでも生かしたいと彼女が思うのは、ある意味当然と言えるだろう。
普段はおっとりと、静かに構えているフェイトが、珍しく強めの言葉を口にしたことで、戸惑った様子だったなのはも、彼女の言う事の意味と意図を噛みしめるように、表情を引き締める。
そうして少し考え込むと……若干迷うような表情で、口を開いた。
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