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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第二章
八話 合宿へ──変えたい“今”──
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なのはは驚いたように目を見開いた。そう言った場合、クラナが返してくるのが大概「はい」か、あるいは頷くだけの返事であることは彼女も分かっているからだ。そう言った場合に、彼が三文字以上で返すと言うのは、極珍しい。
「本当?」
「うん♪」
嬉しそうに言うフェイトに、なのはもほっこりと微笑む。
息子がたったそれだけの事を言っただけで喜ぶ母親と言うのがどれほど異常な物であるかは、この際説明する必要も無いだろう。
まぁとは言え、彼女達自身それは分かっている。しかし嬉しいものは嬉しいのだ。わざわざ暗い話題につなげる事もあるまい。
「最近クラナ、ちょっと変わったよね」
「うん。やっぱりあの時からかな……」
フェイトの言葉に、なのはが返す。フェイトガふと気が付いたように聞いた。
「あの時って……クラナがヴィヴィオの練習に付き合ってあげたっていう?」
「うんっ」
楽しそうに頷いたなのはに、フェイト嬉しそうに微笑んだ。
あれから数週間。高町家の現状は、ほんの少しだけ変わり始めていた。具体的に何がと言われるとあれなのだが、強いて言えば、クラナの反応が少しだけ豊かになったのだ。
例えばなのはの言葉に、はい、いいえ以外……「あ、いえ」だとか……「そうですね」等と言われた時はかなり驚いた物だ。
とはいえ、相変わらず口数は少なくあちらから話しかけて来ることも無いのでコミュニケーションが少ないのは事実なのだが……コミュニケーションの面だけで言うならば、最も変わったのはヴィヴィオの方かもしれない。
と言うのも、なんとも驚くべきことか。クラナがヴィヴィオに返事をするようになったのだ。
まぁ殆どが「あぁ」か「へぇ」等の滅茶苦茶にそっけない物だが、今まで直接的な頑として無視されてきたヴィヴィオとしては一大事である。
初めの内は相当嬉しかったのだろう。まるでマシンガンのようにクラナに話しかけて居た物の、クラナが途中から相当にうっとおしそうな顔をし始めたのを察して、流石に通常運転に戻ったようだった。ちなみにアルも、相変わらずクラナについての情報をちょくちょくなのはやヴィヴィオに流してくれる、貴重な情報源(なんともおかしな言い方だが)になりつつある。
まぁそのたびにクラナは渋い顔をしているのだが。
「私ももっと、クラナに話しかけるようにしてみようかな」
「なのはは、最近クラナと話して無いの?」
「うーん、前よりはお話するよ?でもやっぱり普通のお話とか、そう言うのはあんまりないから……ヴィヴィオは頑張ってるみたい。いつかまた……あの時みたいになれたらいいなって、最近良く思ってるんだ」
「そうだね……」
そう言って、二人は作業へと戻る。考え込むようななのはの横顔を見ながら、フェイトは作業を進め……ふと、思い出したことを口にした。
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