第8話 地下と敵
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アリアの攻撃を回避した本郷は、下がりながら刀を三度高速で振るう。振るうと同時に放たれる鋭利な斬撃。
「―――こ、のッ!」
先程のパンチを回避された事で出来た僅かな隙を突いてくるかのような斬撃の連発。しかも最大限回避出来ないように計算された攻撃。
だが、アリアは身体を捻り、その攻撃を回避した。
まさに驚異的な動きである。
しかし、完璧に回避できた訳ではなく、その白く綺麗な細腕に一本の切り傷が刻まれていた。
「素晴らしいな。今の攻撃をそれだけのダメージで切り抜けるとは」
「それはどうも。あんたに褒められても全然嬉しくないけど」
「クク、それは今流行りの〈つんでれ〉というやつか?」
「…なによ、そのつんでれ?ってやつ」
「俺も意味は良く知らん」
「あっそ。まあ、どうでもいいけど。とりあえずあんたをさっさと倒して先に進まなきゃならないのよ、あたしは」
「くははは!!出来るかな…お前にッ!!」
残虐で、楽しそうな笑みを浮かべながら突貫してくる本郷。
身体から醸し出される濃密な闘気は、彼が只者ではない事を嫌が応にも理解させられる。しかし、アリアは怯まない。
「―――あんたじゃあたしには勝てないわよ」
「ほざけッ!!」
再びの連続斬撃。しかも今度は三発ではなく十発以上を放ってきた。
しかしアリアはそれは容易く躱していく。それだけではなく、躱しながら距離を詰める。
それを察した本郷は再び後ろに下がりながら斬撃を先程よりも多く放つが、それもアリアは悉く回避する。既に掠りすらしない完璧な回避であった。
そんな攻防を数度続けるうちに、本郷の表情はみるみる困惑に彩られていく。
「ば、馬鹿なッ!?な、何故一発も当たらん!?」
「わかんないの?」
斬撃を躱しながら、アリアは詰まらなそうに言う。
「あんたの攻撃には致命的な欠点があんのよ」
「なに…?」
「それはね、放つ斬撃の速度が、あんたの剣速よりも遅いってことよ。それプラス飛んでくる斬撃は直線軌道のみ。そうなれば斬撃を読む時間は腐る程あるの。だから回避もし易の」
アリアは一つあえて言わなかったが、アリア自身非常に素早いという事も要因の一つではある。
欠点を指摘された本郷は、屈辱に顔を歪める。
今まで本郷はこの能力で数多の戦いを制してきた。そんな自負を持った能力を、自分の半分程度の歳の娘に簡単に否定されたのだ。
「き、貴様…ッ」
「ちなみにあんたさっきからあたしに直接斬り込んでこないけど、それって自分の近接戦闘能力が低いって自ら言ってるようなものよ?」
アリアの言葉は完全に当たっていた。
本郷の刀術の実力は、Cランク武偵程度のものでしかない。その腕前
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