第8話 地下と敵
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そう判断したクルトは特に脅威にもならないと判断した。
もちろん油断などは絶対にしないが。
「ならアリア、お前は右に行ってくれ。俺は左に行く」
「分かったわ」
「―――勝てよ、相棒」
「あんたもね。―――相棒」
そして二人は別々の道に向かって走り出す。
この時点を以って、頼れるのは己の力と才覚のみとなった。
* * *
アリアはクルトと共に走っていた以上の速度で通路を移動していた。
元から身体が小さく、身軽であったアリアは、自身の強化系の念を使い力を大幅に高めた事によって、凄まじい速度を実現していた。
つまり、クルトと共に移動していた時は自身の力をある程度抑えていたという事になる。
(あと少しね)
四年間の血の滲む修行の成果で、気配というものを鋭敏に感じ取れるようになったアリアは、敵との距離をある程度正確に掴んでいた。
もちろんまだまだ修行の身で、未熟な所もあるので、あくまで「ある程度」だが。
瞬間、アリアは真横に跳ぶ。
その直後、ズバンッ!!と、通路に一文字の傷跡が出来る。
横に跳んでいたアリアは空中で器用に体勢を整え、着地する。
「随分なお出迎えね」
挑発的な声を出しながらアリアはそう言い放つ。
アリアの視線の先には一人の男の姿が。見た目は三十代半ば程、そして右手には一本の刀が握られている。
そしてもう一つ特徴的なものは、その男から滲み出る強烈な殺気。
完全に男はアリアを殺すつもりだ。
「貴様が獲物か?」
「ええ。でも狩られるのはあたしじゃなくてあんただけどね」
アリアのその勝気な言葉に男は歪で好戦的な笑みを浮かべる。
「ほう。強気な女は嫌いではないな。だが、女は従順に限る」
そう呟き刀を正面に構える。
それと同時に男のオーラが膨れ上がる。完全なる臨戦態勢だ。
「―――本郷忠文、参る」
瞬間、本郷と言う男は駆け出す。
一瞬でトップスピードに乗った本郷は、アリアの間合いに入る直前に刀を振る。その直後、刀から斬撃が放たれ、アリアを襲う。
「ッッ!!」
アリアは持前のスピードを活かし、それを難なく躱すと、すぐさま反撃に移る。
足を曲げ、一瞬だけ力を溜めると、それを即解放。先程の本郷が出した速度を遥かに上回る速さで本郷に肉薄する。
「なっ―――!?」
その速さに、本郷は驚きの声を上げる。
アリアはその隙を逃さず、本郷の顔面目掛けて拳を放つ。
「はあッ!!」
申し分ない速度と威力を持ったパンチ。
だが、本郷はそれを後方に下がる事で回避する。アリアの小柄な身体のせいか、腕のリーチが短いというのがアダになったようだ。
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