Episode7:風紀委員会
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た瞬間、隼人は森崎の魔法によって砕け散った地面の残骸を手にとって、それを森崎目掛けて投擲した。だが、それはなんの工夫もないただの石。森崎は嘲笑を交えてかわした。
入学当初、つい先ほどまで森崎は隼人のことを尊敬していた。彼が九十九隼人の存在を知ったのは、ある雑誌の特集記事でだ。記事に書いてあった彼の魔法力は、ある程度補正がかかっているにしても彼が尊敬の念を覚えるには十分だった。処理能力、干渉力のどちらも彼を軽く上回り、キャパシティだけなら近いところにいるが、全体的な『戦闘力』では遠く及ばないはずだった。そう、はずだった。
しかしどうだろう、今現在、彼の尊敬する人は彼の魔法によって逃げ回っている。あまつさえ、砕けた石の礫を投げてきたではないか。森崎は、彼の持つ尊敬の念を打ち払った。残ったのは、隼人への侮蔑。森崎はそうそうに勝負を決するため、更に集中力を上げた。隼人が投げた石が、森崎の右横の地面に落ちる。落下による石が地面を打つ音は、鳴らなかった。代わりに、絹を裂くような甲高い音が、森崎の聴覚を襲った。
その正体は、条件発動式の術式を組み込まれた振動魔法だった。その条件とは、『特定の場所になにかが落下したとき』だ。それを、森崎の右横の地面のサイオンを改変してかけた。そこに丁度、石の礫が落下したとき、その落下したときの音が振動魔法によって極限まで増幅し、森崎の三半規管を狂わしたのだ。
三半規管を狂わされた人間はバランス感覚を失い倒れるのみ。森崎は、指一本動かすこともできずにその場に倒れた。
『負けた』にも係わらず、プライドの高い森崎の心の中にあったのは、隼人への、尊敬だった。
「俺の勝ちだね」
静まり返った第三演習室に、勝者の宣言が響いた。
――to be continued――
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