Episode7:風紀委員会
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間接攻撃を問わず相手を死に至らしめる術式は禁止。回復不能な障害を与える術式も禁止。相手の肉体を直接損壊する術式も禁止とする。ただし、捻挫異常の負傷を与えない直接攻撃は許可する。武器の使用は禁止、素手による攻撃は許可する。蹴り技を使いたければ今ここで靴を脱いで、学校指定のソフトシューズに履き替えること。勝敗は一方が負けを認めるか、審判が続行不能と判断した場合に決する。双方開始線まで下がり、合図があるまでCADを起動しないこと。このルールに従わない場合は、その時点で負けとする。あたしが力ずくで止めさせるから覚悟しておけ。以上だ」
長いルール説明が終わり、俺と森崎くんが頷くと渡辺先輩は一歩下がった。
それに伴って、拳銃型のCADを握るほうとは逆の手をブランと下げた。俺は、グローブを嵌めた手を緩く握り、体の前で構える。左足を前に、右足を後ろの半身で構えて、森崎くんを見据える。
場が静寂に包まれた。緊張感が、辺りを満たす。あ、達也と深雪さんだ。ヤッホー。
「始め!!」
審判である摩利の宣言で、戦いの火蓋が切って落とされた。
先に動いたのは森崎。『森崎家』はクイック・ドロウで有名だ。クイック・ドロウ、即ち早撃ち。如何に早くCADを起動させ、如何に早く魔法を発動するか。威力は二の次。難度は無視。いくら威力がなくても先に魔法を当てられたら相手を無力化できる。今回も森崎の得意技能通り、常人以上のスピードで拳銃型のCADを起動させる。と、同時に起動式を読み取り、座標を隼人に合わせた。引き金が引かれる、刹那――――
隼人の姿が、森崎の視界から消えた。
「後ろだよ」
「っ!?」
背後から声が聞こえてきて、森崎は振り返るより先に隼人から距離をとるように飛び退った。
「さあ、行け!」
呑気な掛け声とは裏腹に、放たれるは極寒の吹雪。ドライアイスと化した二酸化炭素が、森崎の体を飲み込んだ。
視界全てを覆い尽くすような純白のベールの中、それを見ていた観客は皆一様に様々な驚きをその表情に浮かべていた。
摩利と真由美は、その魔法『ドライブリザード』の規模と威力に。
鈴音とあずさと深雪は、魔法の展開までの異様な速さに。
そして達也は、自分が作ったCADの使い手が、九十九隼人だったということに。
誰もが勝負は決した、と思った刹那、純白の質量を持ったベールがただの霧に変化した。そして、その霧の中から白い銃身が突き出た。飛び退った隼人。そのさっきまでいた場所が空気の銃弾によって抉られる。次々に放たれる弾丸を、隼人は驚異的な身体能力でかわし続ける。
形勢逆転か、と思われ
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