第八十二話
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12月25日 12:00
街はクリスマスイルミネーションに彩られ、昼間だというのに煌びやかな商店街をアオは青年に変化してクリスマスケーキの材料の買出しへと来ていた。
材料自体は簡単に揃ったので家に帰って昼食をと帰り道を急ごうと歩を進めたところ、前方に長い筒を持った金髪の青年が歩いてくるのが見えた。
外国人と言う事で周りから浮いているのだが、手に持った筒が拍車を掛けていた。
しかし、アオが目を見張ったのはそこではない。彼の体からあふれ出る鮮烈なオーラだ。
それは草薙護堂やジョン・プルートー・スミスと同じ鮮烈さだ。つまり、この目の前の青年はおそらく……
青年は辺りをキョロキョロと見渡した後、アオと目が合ったためか歩み寄り、流暢な日本語で声を掛けた。
「すみませーん。この辺りに坂上と言う家があるって聞いたんだけど。君、知らないかな?」
アオは何故その名前が出てくるのか考えるが、理由が思いつかない。しかし、これは面倒な事になりそうだと今までの経験が警鐘を鳴らしたのでとぼけて見せる。
「えっと…こんな都会でファミリーネームだけで家を探そう何て事は不可能ですよ」
ここは片田舎に有る集落ではなく、都会の集合住宅地だ。住所を聞かれれば答えられるかもしれないが、何処の誰さんと言われても分かりはしない。
「そっかー…。こまったね…、でも何とかなるような気はしているんだよね。このまま声を掛け続けていけばきっと何とかなるんじゃないかな?」
などと意味の分からない言葉が返ってきたためにアオは戸惑っている。
その時。辺りを強力な呪力が通り過ぎた。
「っ!?」
「…これは?」
何事かとアオは辺りを窺うと、通行人や店員など辺りに居る人々が突然狂ったかのように笑いながら踊り出したのだ。
「あははははは」
「はっはっははっは」
「きゃははははは」
「これは……っ」
このような大規模な能力の行使はこの世界の常識で考えればまつろわぬ神かカンピオーネ以外に出来る物は居ない。
そしてその神の呪力をレジストできる存在もまた希少であった。
「はた迷惑な神様が現れたんじゃないかな?」
と、何てことは無いように青年は言う。
「それは大変だ」
「うん。大変だね。直ぐにでも駆けつけて元凶を叩かないとこの人達は一生このままかもしれない」
「ならば早く誰かが何とかしないといけないんじゃないか」
「うん、そうだね。でもこの神様は僕の直感じゃたいした事は無さそうだなぁ。だから……」
そう言った青年は筒を開き、中から数打ちの剣程度のグレードの一本の剣を取り出すと、それをアオに向かって突きつけた。
「これはどういう事?」
「これは神様の権能だね。それ
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