第八十二話
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を何の術も発動させないでレジスト出来るのは同じく神か、それともカンピオーネだけさ」
それはアオも分かっている。
「それで、僕の目的だけどね」
目的と聞いてアオも真剣に聞いている。何をしにこの日本へとやってきたのであろうか。
「この日本にカンピオーネが6人も誕生したって聞いたから、ちょっと手合わせをしようと思って」
すでに青年はアオがカンピオーネであると悟っているようだった。
普段は能天気な青年であるのだが。この青年には少々度を過ぎた悪癖が幾つか有る。その中で極めつけはこのバトルジャンキーな所だろう。
自身の剣の腕を磨く為にまつろわぬ神やカンピオーネと命のやり取りを含む全力戦闘を望んでやまないのだ。
「周りを見ろよ。この騒ぎを君が片付けた後でも良いんじゃないか?」
既に戦闘態勢へと移行している青年に待ったを掛けるアオ。
「それじゃ君は逃げてしまうだろう?君からはあの護堂と同じような感じがするよ。僕が幾ら戦いを吹っかけてもかわされてしまいそうだ」
それはそうだとアオは思う。
誰が益にならぬ戦いなどするか。
「正解だ」
そう言うとアオは封時結界を張る。
アオの足元に魔法陣が現れたかと思った次の瞬間世界からその空間は切り取られ回りのものを取り残してアオ一人だけがその世界へと入り込む。
これで相手は追って来れない…はずであった。
「これは?瞬間移動…と言う感じではなかったし。うーん?空間をズラした?」
青年…サルバトーレ・ドニには魔術の才能は全く無い。彼はその剣一本で神を殺した存在である。普段はチャラけているような感じだが、やはり彼もカンピオーネ。戦いにおける直感はとても鋭かった。
「ここに誓おう。僕は、僕に斬れぬものの存在を許さない」
凄まじい呪力がドニの右腕に絡みつき、その手を銀色に染める。
『斬り裂く銀の腕《シルバーアーム・ザ・リッパー》』
これはドニがケルト神話の神王ヌアダから簒奪した権能で、その手に持った剣を必殺の魔剣へと変える能力だ。その切れ味は想像の範疇を越え、全ての物を切り刻む。
ドニが右手を振り下ろすと空間に亀裂が生じ、中からは色が削ぎ落とされたような空間が現れた。
「へぇ、中々凄い事をやるね」
と賞賛すると何のためらいも無くドニはその空間へと押し入った。
「なっ!?」
これに驚いたのはアオである。
完全に切り取ったはずの空間。それこそ魔導師でもなければ認識も出来ないはずであった。しかし、ドニは権能を使い、封時結界を切裂いて進入してきたのだ。
「さて、やろうか」
ドニは今度は逃がさないと言う意思を込めて宣言した。
◇
アオを除く坂上家のメンバーは、昼食の準備
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