第九話
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それからほどなく兄上がグランベルへと旅立たれた。その前日の壮行会というか何というか式典にはコノートのカール王と、アルスターからは国王の名代としてコノモール伯爵が臨席された。
両名とも別件での目的での来訪でレンスターに滞在していたのだが、この式典はグランベルの駐公使の 退任と新公使の着任の式典も兼ねていた為の臨席(実際はこちらがメインで兄上の壮行会のほうがおまけ扱いではあったのだが)であったのだろう。
新公使はしばらく前からレンスターに赴任しており、引き継ぎなどで忙しくされていたようだ。
マンスターのほうは南トラキアの情勢が不穏であるため主だった人物は派遣することが出来なかったようだ。
式典での兄上はいつも以上にかっこ良かったです。
出立の前日、さすがにお疲れだろうと俺は兄上の負担にならないよう自重してなるべく関わらないようそっとして、その代わりにせっせと手紙を寝る前に書いていたのだが自室のドアを叩く音がしたので
「起きてます、どうぞお入りください」
と返事をすると兄上が部屋にやってきた。
その後は俺が何度か会話の合間に言えそうなタイミングを見つけては
「明日の出発に障わるのでおやすみになられては」
と、促しても
「あとすこしだけ」
なんて言われてずるずると完徹に近くなりました。兄弟いろいろなことを語り明かしましたよー
例えば南北トラキアを統一とか、亡くなった母上の話とか、父上を頼むぞとか、それと・・・重騎士を
目指そうかなって俺が言ったり、またトラキア統一の話に戻ってあーやってやるとかこういうふうにしてやってみるとか、セルフィナ嬢のことをどう思ってるとか言われてからかわれたり、それなら兄上はどんな人が好みー?とか、兄上が一度ゲイボルグを父上に黙って触ってみようとしたら見つかって叱られたとか、それは俺もやってみようとして叱られましたとか言い合って笑ったり、辺民街区のことを俺が話すと難しい顔をして考え込んだり、一緒に遊んだ野山の話とか・・・ほんと沢山のことでした。
翌日なんとか書きあげた手紙を渡せたので良かったよ。もし渡せなかったら死亡フラグかもしれないし。
最終的には、兄上が部屋に来て続きを書ききれなかったのであとで送るお手紙に続きを書きますっていういいかげんな文末にしてしまったというオチでしたけれどね。
徹夜明けとはいえ体は若いので無理は効いて、いつも通りに日課や課題はこなすことができた。
兄上も若いから大丈夫とは思うけど馬に乗りながらだから居眠りしたら大変だろうなと心配でした。
何週間かしてペルルークとミレトスにそれぞれ滞在したからであろう、兄上は手紙を出してくれました。
内容はそこまでの道中のことなどの報告でした。俺個人宛のも
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