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東方守勢録
第二話
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俊司はハンドガンを取り出すとセーフティをはずし非殺傷モードに切り替える。

そして、それとほぼ同時に時は再び動き出した。





「なっ……」


咲夜は目の前で目標に当たることなく、次々と地面に突き刺さっていくナイフを見て目を見開いていた。


(そんな……時間は止まってたはずだし……なにせ逃げ場なんて……)

「逃げ場なんてなかった……普通はな」

「!?」


少年の声は咲夜の背後からだった。もちろん、演技をしている俊司の声である。

咲夜は懐からナイフを素早く出すと、何も言わず後ろに投げる。それに合わせるかのように発砲音が鳴り響き、金属音が鳴り響いた。




「……能力持ちね」

「ああ、なかなか鋭いじゃないか……十六夜咲夜さん?」

「……」


俊司が咲夜の名前を言っても、咲夜は表情を微動だに変えず俊司を睨んでいた。どうやら、外来人が自分たちのことを知っていることは、すでに把握しているようだった。


「……一つ聞こう……ここに何をしに来た?」

「あなたには関係ありません」

「そうか」

(くっ……こうなったら!)


咲夜はすぐさま時間の止めると、さっきとは比べ物にならない量のナイフを、再び俊司の周りに並べ始めた。もう、殺す殺さないのレベルではない。自分が無事に戻れるようにひたすらナイフを並べ続けた。


「これで……大丈夫のはず」


咲夜は今度こそ勝利を確認したのか、安堵の溜息を漏らし時間を戻す。

だが、目の前に現れたのは、勝利ではなく絶望だった。


「同じような攻撃を二回も続けるなんてな」

「!?」


咲夜が設置したナイフは、さっきと同様目標に当たることなく地面に突き刺さっていた。それだけではない、その攻撃をかわしたあげく俊司は咲夜の胸倉をつかんでいたのだ。


「どうして……」

「さあ?どうしてだろうな!!」

「きゃっ!」


俊司はそのまま咲夜を強く押し倒し、黒く光る銃口を咲夜の額に押し付けた。


「悪いが……俺は他の奴らと違って、見過ごしたり情けを与えることはしないんだ……」

「ぐっ……」


咲夜は必死に動こうとするが、俊司が強く押さえつけているため抜け出せそうにない。能力を使うことも考えたが、どう考えてもさっきと同じ状況になってしまう。

詰みだ……咲夜はそう確信していた。


「主人にはきちんと伝えといてやるよ……お前の遺体でな……」

「くっ……お嬢様……申し訳ありません……」


泣きそうになる自分をこらえようと、咲夜はスッと目蓋を閉じた。こんなかたちで自分の人生が終わる。ここで死ねば、自分をここに向かわせたお嬢様はど
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