第2話『夢を描いて』
[4/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
マスターして、はやかったら15歳で遅かったら18歳で行こうって思ってるくらい」
具体的な数字だ。年齢の問題はおそらくベルメールが認めてくれる年齢次第というところ。
ハントは、ナミがもうそこまで考えているという事実に目を見開き、それから納得したかのように言う。
「明日のこの場所でまた答えるから、それまで待っててくれるか?」
「え……そんなに早いの?」
まだ猶予まで7年ほどある。少し待ってくれといわれた以上、年単位で待たされるとのナミ予想だったのが、ハントはそれに笑顔を浮かべてまるでイタズラするかのように微笑む。
「ま、ほとんど答えは決まってるからな」
「え!?」
驚きで石の様に固まってしまったナミがおもしろくてハントは笑う。
「とりあえず、そろそろ日が暮れるし、帰ろうか」
筋力トレーニングしながら、二人にも話を聞いてみよう。
それ次第だな、とハントはおぼろげに思うのだった。
いくつもの命が世界を包む。
寄せては返す波の音がまるで心を静めてくれるようにすら感じるほどに一定のリズムを刻み、そこらの草むらや畑に生息している虫たちが協奏曲を奏でては単一な色の世界を華やかに彩っている。
夜の帳が世界を包んでいた。
まだまだ田舎でしかないこのココヤシ村では、夜になると頼りになるのはそれぞれの家から漏れる光だけ。
さて、そんな光を背にして、一心不乱に汗をかき続ける少年がいた。
もちろん、ハントだ。
「ふっ……ふっ……ふっ……ふっ」
まるで波や虫の音にのるかのように一定のリズムにのって、体を動かし続けている。
まだ10歳程度の少年がこんな夜に、家の前で筋力トレーニングにいそしむ姿は、悪さでもして家を出されたのかと勘ぐられたりするかもしれないが、これももう2年も続く光景。
夜ということもあってほとんどない人通りでたまに通る人間も微笑ましい顔で挨拶だけして通り過ぎる。
「……ふぅ、今日のはこれで終わり……と」
息を弾ませて立ち上がる。
「おーい、終わった?」
と、まるで見計らっていたのかと思いたくなるようなタイミングでベルメールが玄関から顔を出
した。
「うん、終わったよ」
「そ……じゃ、ちょっとこっち来なさい」
「?」
首にかけていたタオルで汗をふきつつも、もちろん自分の家でもあるので躊躇いはない。招かれるままに家の中に入ると、そこには珍しくノジコだけがいた。
「あれ、ナミは?」
「もう寝ちゃったわ」
椅子に座って、なにかを図るかのようにハントを見つめて答えるノジコ。その姿がなぜか、少し恐い。
「ま、お茶でも出すからあんたも座ってなさい」
「う、うん」
何か悪いことでもしたのだ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ