第1話『狩人』
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れるハント。
ほとんど成り行きで拾った彼ら3人の義母になれて本当によかった、ベルメールはそう思わずにはいられなかった。
「よっしゃ、じゃあウサギの調理方法教えて!」
着替えて開口一番のハントの言葉に、ベルメールは考えるように黙り込み、ぽんと手を打って尋ねた。
「やっぱり血をみたいの?」
「違うって!」
それからはスムーズに時間がすすむ。
料理はほぼ完成。
あとは10分ほど煮込むだけとなった。
「……」
「……」
静かな時間になっていた。キッチンにお鍋が湯だつ音が響く。少し前まで聞えていたノジコとナミの声も今は聞えない。おそらく遊んでいる間に寝てしまったのだろう。
椅子に座り、ハントの顔をジッと見つめて、ベルメールが不意に口を開いた。
「で、なにか話でもあるの?」
「え!?」
「いってみなさい」
「な、なんでわかったの?」
「あのね、明らかに態度に出てたでしょ」
呆れたようにため息をつき、トントンと人差し指で机を叩く。
さっさと言いなさい、言外にそう言っているように見える。
ハントは口を開き、一度顔を伏せる。躊躇いを見せつつ、それでも意を決した。
「ベルメールさんにお願いがあるんだ」
「お願い? へぇ珍しいわね」
少しばかり目を見開いて、だがそれ以上に嬉しそうに言う。
悪がきでよく本を盗もうとしては怒られているナミ、まだまだやんちゃで時折他の子供たちと喧嘩したりするノジコ。問題を起こす少女たちと違い、ハントはどちらかといえば手のかからない子供だった。
きっとどこかで気を遣っている。それがベルメールにとっては歯がゆくもあり、寂しくもあったのが、そんなハントが頭を下げてお願いをしようとしている。
驚きよりも嬉しさが増すのは彼の母としては当然だろう。
「体の鍛え方を教えて欲しいんだ」
「……」
若干の間。
「……はぁ?」
そして、ベルメールから空気の漏れたような声が発せられた。
「なにそれ、あんたそんなことを言えずに今日ずっとモジモジしてたの?」
「も、モジモジって言うな! 男がそんな態度とるか!」
「とってたじゃないの、ついさっきまで」
「そそ、そんなことは」
目をそらしてまるで話をそらすかのように「で、いいの?」と聞く姿はまるで捨てられた子犬そのものだった。
それがあまりにも可愛らしくて、ベルメールはつい「ぷ」と笑いをこぼし「アッハハハハハ!」爆笑。
「?」
いきなり笑い転げられても、なにがおかしいのか分かっていないハントからすれば首を傾げるしかない。
しばらくそうやって笑い転げた後、ベルメールは息を切らしながら、言う。
「アタシが元海兵って知って……いってる
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