第1話『狩人』
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中だった。
「ただいま!」
「ただいまー」
「ハント、ナミお帰り。二人一緒なんて珍しいわね」
「おかえりー」
元気よく扉を開けて帰ってきた二人を、ベルメールとノジコが出迎えた。
「お、今日は問題起こさなかったのね、ナミ?」
珍しいことなのか、褒めようと手を伸ばしたベルメールとそれを黙って受け入れるナミの姿にハントは困ったような笑みを。一瞬だけ口を挟みかけた彼だったが、頭を撫でられているナミが嬉しそうで、その口を閉じた。
――ま、いいか。
もしかしたら俺がゲンさんに怒られるかも、なんてことを考えながらもハントは黙り込む。ついさっき漏らしたナミの悩みを垣間見た人間として少しくらい目を閉じたくなったのだろう。
「そういえば、ハントは今日も狩りでしょ? どうだったの?」
「え、あ……うん! ベルメールさん、ノジコも! 今日はウサギ二羽狩ったんだ!」
「おぉ、やるじゃん!」
「今日はごちそうだね、ベルメールさん!」
「ご馳走!?」
素直に感心した様子を見せるベルメールと、自分もだがそれ以上にベルメールもたくさん食べれるだろうということで喜びをあらわにするノジコ。最後に素直に喜んだのはナミだ。
三人の反応が予想以上に大きくて、ハントが少しばかり調子に乗る。
「はっはっは、おれのことはこれからお兄様とおよびなさい」
「お兄様ーすてきー!」
「はいはいお兄様、お兄様」
「よっし、じゃあお兄様がとってきたウサギで早速調理しよっか!」
自分で言ったことなのに本当にお兄様と呼ばれて「お、おう」となぜか照れだしたハントにノジコが意地悪に笑う。
「ぷっ、自分で言えって言っておいて照れてる」
「あ、本当だ、顔真っ赤」
「う、うるさいな! お前らもう適当に遊んでろよ! ベルメールさん、俺も調理手伝うよ、どうやるか興味あるし」
逃げるようにキッチンの奥にいるベルメールのところに駆け寄る。
「え、あんた血見るのが趣味?」
「違うよ!」
「フフッ冗談よ冗談! それより手伝ってくれるなら手洗って服も着替えてきてくれる?」
「あ、そっか。すぐ行くからちょっと待ってて!」
ドタドタと走り出したその背中を、ベルメールはじっと見つめて微笑む。手に渡された2羽のウサギを見てごくりとつばを飲み込んだ。
ウサギやら蛙やら、軍に所属してきた時に何度も非常食として食べてきた彼女だ。最近まともな食事が減ってきているベルメールからして、垂涎ものであるには違いない。
もちろんそれがハントの気遣いであることも彼女は理解している。
「ありがとうね、ハント」
夢に真っ直ぐ向かおうとするナミ、自分の苦労を減らそうとみかん畑を手伝うノジコ、少しでも豪勢な食事にしようとしてく
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