第二幕その八
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第二幕その八
「帝位には厳しい心が必要か」
「帝位にはですか」
「そうだ。どう思うか」
真剣な顔でプブリオに問うてきた。
「これについては」
「それは」
「私は今思う」
その顔のまままた語る。
「神々はそれにより私から帝位を取り上げるか別の心を与えて下さるのかと」
「どちらかですか」
「そしてだ」
さらに言う。
「帝権への忠誠を愛によって確かなものにするものでなければならないな」
「それはその通りです」
「恐怖がもたらす忠誠であってはならない」
これは彼が以前から持っている考えであった。
「何があろうともな」
「ではその御心を今」
「そうだ、見せよう」
言葉と共に顔をあげた。
「私の心をな。皆に。そして」
「セストにですね」
「うむ。それではな」
「ええ」
こうして二人は場を後にした。この時ヴィッテリアはアンニオ、そしてセルヴィリアと会っていた。二人はヴィッテリアに対して懇願していた。
「ヴィッテリア様、御願いがあります」
「どうか」
「セストのことですね」
「そうです」
「その通りです」
ヴィッテリアに対して今にも泣きそうな顔で頷く二人であった。
「御願いです、どうか」
「彼を救う為に」
「私がそれについて何ができるか」
だがここでヴィッテリアは顔を曇らせるだけであった。その顔を見て二人はさらに顔を暗くさせるのであった。
「それは」
「やはり」
「やはり?」
「貴女様は陛下の御后様です」
アンニオが言うのはこのことであった。
「ですから。貴女様の御言葉で彼は救われるのです」
「わたしはまだそうではありません」
こう言って逃げようとするヴィッテリアであった。
「まだ。それは」
「ですがもう決まっています」
「そうです」
だがそれでも二人はすがる。彼等とて必死だ。
「それは間も無く」
「ですから」
(それでは)
今の二人の言葉を聞いてヴィッテリアはあることに気付いたのであった。それは他ならぬセストのことであった。
(彼は話さなかった。私のことを」
「アンニオ」
「はい」
無意識のうちに言葉が出た。
「セルヴィリア」
「はい」
そしてまた。無意識のうちの言葉であった。
「行きなさい」
「行けとは」
(何処に行くというの?)
言った本人がそれを把握していなかったのであった。言った側から内心で戸惑いを覚える。
(私は。何処に)
「私は後から行きます」
(また)
だが。またしても言葉が出てしまった。
(どうして。こんな)
「ヴィッテリア様」
セルヴィリアは今の彼女の言葉に涙し。そして彼女に対して言ってきた。
「涙する以外の何事も彼の為にするのならそれは何にもなりません」
「確かに」
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